バスケ女子日本代表 高田真希さんへ 愛知「佐布里梅」PRありがとう 今度は産地から応援
パリ五輪で金メダルを目指すバスケットボール女子日本代表は30日午前4時(日本時間)、世界ランキング1位の米国と初戦で闘う。チームの大黒柱、高田真希さん(34)に声援を送るのは、明治時代初期に愛知県知多市で生まれた「佐布里(そうり)梅」の生産農家や梅酒蔵の人たち。愛知出身で梅が大好物の高田さんは、後継者不足で存続が危ぶまれる佐布里梅の魅力を発信し続ける。 【画像】 高田さんのサイン入りボールを“シュート”する新海さん 高田さんが佐布里梅の現状を知ったのは、代表チームの主将を務めた2021年東京五輪の開幕直前。梅酒のオリジナルブランドを立ち上げようと、同県常滑市にある1848年創業の「澤田酒造」6代目の澤田薫さん(43)と出会ったのがきっかけだった。 澤田酒造は07年から爽やかな酸味が特徴の佐布里梅で梅酒を作り始めた。一方、農家の後継者不足が止まらず、11年は県内4ヘクタールだった栽培面積は21年までに1ヘクタールに減少。生産者20人でつくる佐布里梅研究会は21年春、解散した。元メンバーの大半は現在も梅を育てるが、後継者が見つかっていないという。 澤田さんは、梅農家が減っている現状を知った高田さんが「農家の方に会いたい」と言ってくれたことに感動。「高田さんの発信力が解決につながれば」と協力を決めた。 高田さんは東京五輪で銀メダルを獲得した後、同市佐布里台地区の30アールで佐布里梅やシソなどを育てる新海良子さん(82)を紹介された。若い頃に体操選手として活躍した新海さんは、高田さんとすぐに親しくなり、「真希ちゃん」と孫のようにかわいがる。高田さんも年10回は知多を訪ね、高齢で手が届かなくなった枝の剪定(せんてい)などを手伝う。 佐布里梅を8年物の純米大吟醸に漬けた「つなぐ梅酒T」の生産は22年から始まった。高田さんは梅酒をPRし、佐布里梅農家を支援しようとクラウドファンディングも始め、集まった支援金で新海さんの農園にスロープを取り付けた。佐布里梅と共に大きな話題になった。 新海さんの佐布里梅は今年、暖冬の影響で受粉がうまくいかず、収量が昨年の3分の2に減った。心配する高田さんに、新海さんと澤田さんは「一緒に乗り越えよう」とパリ五輪での活躍を祈っている。(佐野太一)