センバツ出場・京都国際 選考委員が会見で絶賛した「超速攻守交代」を行う理由
1月26日に開かれた第96回選抜高校野球大会の出場校選考委員会で、近畿地区小委員会での選考経過を読み上げる寶馨選考委員長(日本高校野球連盟会長)からこんなコメントがあった。 【一覧】センバツ出場32校 「3校目の京都国際高校(京都)は、近畿大会でベスト4に進出し、左腕エース中崎投手がストレートと変化球を変幻自在に操り、防御率1.44と安定した投球を見せます。テンポも非常に良く、内野守備の堅守を引き出します。この堅守をもとにした接戦に強いのが持ち味であります」 ここまでは通常の選考経過コメントだが、「特筆すべきこととして、近畿大会出場16校中、攻守交代に要する時間が最も早いということが挙げられます。全国大会では攻守交代に1分を要することもありますが、京都国際は50秒を切ることもありました。打撃にはやや課題がありますが、高校野球の原点でもあるキビキビとハツラツとした姿勢は、センバツに相応しいチームであると評価されました」と続けた。 選考経過報告において、「キビキビ」「ハツラツ」というワードは時折聞かれる。今回も東北地区の学法石川(福島)でそのワードが聞かれた。だが、「50秒を切る」と攻守交代タイムが語られることは非常に珍しい。京都国際のイニング間の動きが高く評価されたのだろう。 選考委員会の翌日、反応が気になり、京都国際を訪ねた。 案内してくれた大山遥飛マネージャー(2年)によると、発表の時は練習前のグラウンド周辺掃除をしていて、京都国際の校名を読み上げるインターネット中継は見ていなかったという。後刻、京都国際の攻守交代が評価されたと知り、「ビックリしました」と振り返った。 小牧憲継監督は「(打力が課題で)攻撃時間も短いからキビキビしているように見えたんですかね。(選考委員は)時間まで測っていたとは」と冗談も交えながら選考委員会での高評価に驚いていた。しかし、こう続ける。「早くというには特に言ってないのですが、私が生徒たちに話しているのは、自分のプレーの準備をする時間を作ろうということ。例えば早くポジションにつけば、風の確認や、手でグラウンドをならす時間を作ることもできる。試合中は応援もあって声が通りにくいこともあるので、コミュニケーションの時間にもできると思います。(ベンチに)戻ってくる時も攻撃の準備ですね」。小牧監督によると、これは今年のチームだけではなく、これまでもやってきていたことだという。 試合を見てもわかるが、決して「攻守交代=全力疾走」ということではない。守備に就く際に全力疾走で息が上がってしまっては何もならないので、自分のペースの駆け足でキビキビと動くことで、ダラダラしたように見えないというのがポイントだろう。 選考委員会後の記者会見で「攻守交代を素早くすることを他校にも奨励したい」と寶会長が話していたことを伝え聞いた小牧監督は、驚きながらも「うれしいですね」と表情を緩ませていた。