【記者解説】鹿児島・日置市5人殺害事件 控訴審
鹿児島テレビ
日置市5人殺害事件事件を取材している坂口記者とお伝えします。 Q.坂口さんは30日の裁判を傍聴したとのことですが、今回の控訴審、どこがポイントになるのでしょうか? 坂口輝記者 今回の裁判は一審の死刑判決後、これを不服とした弁護側が即日控訴して開かれたもので、弁護側としてはどのような論を展開して一審判決を打ち消していくのかがポイントです。 Q.30日の裁判で印象的なやりとりは何かありましたか? 坂口輝記者 一審の裁判の中では異なる医師による2つの精神鑑定結果が示されました。 このうち、判決で支持された精神鑑定では、伯父からの嫌がらせは岩倉被告の妄想とした上で、岩倉被告が「妄想上の嫌がらせを阻止するための行動に出ておらず、妄想性障害の程度は軽微」と結論づけています。 30日の裁判で弁護側は、二審に向けて新たに被告の精神鑑定を行った医師への質問の中で、「妄想上の嫌がらせを阻止するための行動に出ていないことで、障害の程度が軽いと言えるのか」と尋ねていました。 一審判決を覆えす狙いがうかがえる質問ですが、医師は「阻止行動に出ていないからといって、重い、軽いとは言えない。恐怖が強いから阻止行動に出られないというのが一般的」として、一審判決で支持された精神鑑定とは異なる見解を示しました。 一方、30日は、一審判決で支持された精神鑑定を行った医師も証人として出廷しました。この医師は、被告の妄想には統合失調症の特徴がみられないことなどから、被告は統合失調症ではなく、妄想性障害の診断が妥当だと、改めて説明しました。 検察側もこの意見を支持し、一審判決の妥当性を訴えるものとみられます。 この裁判、次は12月24日に開かれる予定です。弁護側は岩倉被告の被告人質問を求めていましたが、裁判所はこれを却下していて、次回の公判での双方の主張が注目されます。
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