「固定残業代」がついていますが、時間内に業務完了!「定時」で退社してはダメですか?
給与に「固定残業代」が含まれている会社では、残業をしなくても、決まった残業代が労働者に支払われます。 そのような会社に勤めていると「定時で退社しているのに残業代をもらうのは気がひける」という理由で、無理に残業しようとする従業員が出てくることも珍しくありません。 本記事では、固定残業代の意味と、固定残業代をもらっているのに残業しないのはよくないことなのかという疑問について、詳しくご紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
固定残業代とは?
固定残業代とは、一定時間分の時間外労働に対して、定額で支払われる残業代のことをいいます。 労働基準法では、法定労働時間を「1日に8時間、1週間に40時間」と定めています。法定労働時間を超えて労働する場合は、企業と労働者の間で時間外労働協定(36協定)を結んだうえで、残業代が支払われなければなりません。 しかし、固定残業代を支払っている会社の場合は、残業の有無や残業した時間に関係なく、毎月決まった額の残業代が支払われます。 ただし、固定残業代を支払っているからといって、労働者に何時間でも残業をさせていいというわけではありません。 固定残業時間を超える時間外労働に対しては、割増賃金を追加で支払う旨を募集要項や求人票などに明記する必要があります。 例えば、会社が固定残業時間を「月20時間」と決めている場合、残業をまったくしなかったとしても、月10時間の残業をしたとしても、20時間分の固定残業代が支払われます。 もし21時間残業した場合は、超過した1時間分には割増賃金が支払われるということになります。
固定残業代をもらっているのに「定時退社」はNG?
給与に固定残業代が含まれていると「残業をしなければならない」「定時退社すると固定残業代分の残業するように上司から注意されてしまうのでは」と思う人もいるでしょう。 本来、固定残業代をもらっていても業務が完了していれば、定時に退社して問題ありません。 会社から固定残業代分の残業をするように強制することはできないと考えられます。 また、厚生労働省によると「36協定の締結にあたって、時間外労働は必要最小限にとどめること」とされているため、必要性の高い内容でなければ、できるだけ残業しないことが望ましいといえます。