白洲次郎と白洲正子、小林秀雄を祖父母に持つ白洲信哉さんがシェアする白洲式“見る眼の育て方”【土偶と石棒現代と古代の融合】
白洲次郎と白洲正子、小林秀雄を祖父母に持つ白洲信哉さん。連載「白洲式“見る眼の育て方”」では幼い頃から一流のものに触れて育ち伝統や文化に造詣が深い白洲さんからモノの見極め方やセンスの磨き方を学んでいきます。
僕は古美術、俗に「骨董」と呼ばれるモノが好きで、生活の一部に取り入れている。だが、所謂「骨董趣味」ではない。古今東西の現代写真や洋の陶磁器と混ぜることで、古いモノが生かされると経験から知った。 例えば掛軸を現代風にアクリル額装し、インドガネーシャの石像と藤原時代の仏像を並べる楽しみを見つけた。骨董は買って箱から出さない人もいれば、鑑賞陶器として眺めるだけの人もいる。 僕が好む骨董は生活で使うモノだ。 特に焼きものや酒器との関わりは深い。コロナ禍を経て、骨董市への訪問も増え、「縄文世界」のカタログが届いた。巻末に載っていた黒曜石の石槍は既に売れていたが、実物を見る機会を得た。手が出ない高価な品だが、こうした一期一会が古美術の最大の魅力だ。 店で見つけた憧れの石棒は手頃な価格で購入した。 新加入の縄文遺物たちはすべて発掘品で、いじくり回すモノではない。古代人の生活や装飾への理解が深まり、一つ一つの品が歴史の象徴だ。特に「みみずく土偶」は愛らしい顔が残る貴重な品。僕はこの土偶を部屋に飾り、古裂に貼り付けた。 次回は東京国立博物館の特別展「はにわ」に焦点を当て、文字のない時代の美を探求する。 ▼白洲信哉 1965年東京都生まれ。細川護煕首相の公設秘書を経て、執筆活動に入る。その一方で日本文化の普及につとめ、書籍編集、デザインのほか、さまざまな文化イベントをプロデュース。父方の祖父母は、白洲次郎・正子。母方の祖父は文芸評論家の小林秀雄。