来秋以降のドラフト候補ズラリ 侍ジャパン大学日本代表候補強化合宿に仙台六大学から4人選出
左投手と対戦する際は相手のタイプによって左右どちらの打席に立つか決めているといい、公式戦では久しく右打席に立っていない。秋のリーグ戦終了後に本人が「振り返ると『右で打った方がよかった』という打席もあった」と省みたように、長打力と確実性を両立するための打撃を日々模索している。 父は北海高硬式野球部の監督を務める敦さん。高校受験で北海にも合格したものの、「父親を倒す」と公立の札幌国際情報に進学した。とはいえ父は野球の恩師でもある。大学入学後も技術的なアドバイスをもらうほか、さまざまな「決断」の際には真っ先に相談する。初の強化合宿参加を機に、その名を全国に轟かせることはできるか。
“松山合宿”2年連続参加の2年生右腕
佐藤は150キロ台の速球を持つ本格派右腕。昨年の強化合宿にも参加しており、2年連続の選出となった。高校時代は無名ながら、大学では1年目から活躍。昨年はリーグ戦で春秋計6勝をマークし、全日本大学野球選手権では2試合に先発して当時の自己最速となる152キロを計測するなど強烈な印象を残した。 ただ、「全国大会で152キロが出て、スピードにこだわるようになってしまった」という昨冬以降はしばらく不振にあえいだ。筋トレや食トレによる肉体改造の効果もあって平均球速が上がった一方、投球フォームを見失い制球難を露呈。練習試合などで四死球や暴投を機に大崩れするケースが目立った。
今春のリーグ戦はわずか2試合、計2イニングの登板に終わった。それでも2年連続で出場した全日本大学野球選手権で力投し感覚を取り戻すと、今秋は再び先発ローテに入り3勝、防御率1.42、リーグトップ43奪三振と躍動。東北学院大1回戦では自己最速を更新する155キロをたたき出した。 着実に長所を伸ばしつつ、何度も直面する課題と向き合いながら成長を続けている佐藤。昨年の強化合宿では持ち味を存分に発揮したが、今年も松山の地で輝きを放つ。
“ポーカーフェイス”のスーパールーキー
大城は速球と多彩な変化球を併せ持つルーキー左腕。今春は全節で先発を任され3勝、防御率1.38と結果を残し、全日本大学野球選手権の先発マウンドにも上がった。秋は中継ぎも経験し、優勝のかかる東北福祉大2回戦で7回1失点と好投するなど要所での活躍を評価され最優秀選手賞を獲得。激動のルーキーイヤーとなった。 6種類の変化球(カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、スプリット、ツーシーム)は精度が高く、制球力も申し分ない。球速は春のリーグ戦で投げるたびに自己最速を更新して145キロまで上がり、体重を増やして臨んだ秋は終盤まで140~145キロを維持できるようになった。
ピンチを迎えても表情を変えず、淡々と投げる強心臓ぶりも魅力の一つ。本人は「感情を出すのが難しくて、出そうと思っても出ない」と話すが、どんな試合、どんな相手でも臆せず投げることができるのは投手としての強みだ。 明治神宮野球大会出場をかけた東北地区大学野球代表決定戦の決勝でも先発を託され、富士大打線を相手に9回途中4安打9奪三振2失点(自責1)と好投。試合には敗れたものの、5回までは走者を一人も許さない快投を続け麦谷祐介(オリックス1位)ら強力野手陣を手玉に取った。初の強化合宿にも平常心で臨む。
(取材・文・写真 川浪康太郎)