東京と福岡の“お屠蘇”は全く別ものだった…なぜ西日本では元旦に「みりんと屠蘇散の入った日本酒」を飲むのか
手軽に味わえる伝統
先に見た通り、屠蘇は中国から京都に伝来した。山本さんの周りにいる京都府民は今も元旦に屠蘇散の入った伝統的なお屠蘇を飲んでいるのかと思いきや、徐々にではあるが伝統が失われつつあるという。 「そもそも日本酒を飲まないという人が相当な数に達しています。若い人だと京都在住でもお屠蘇を知らないという人も多いです。ぜひ、今年の正月はより多くの人にお屠蘇を飲んでほしいと願っています。良いタイミングだと思うのは今月、ユネスコの政府間委員会が日本酒や焼酎、泡盛といった日本の伝統的な酒造りを無形文化遺産に登録すると決めたことです。私たち酒蔵は、酒は文化であるとずっと前から信じていましたし、特に年末年始は初詣やおせち料理など日本文化に触れる機会が非常に多いと言えます。日本酒に屠蘇散とみりんを入れ、元旦に飲むだけで日本の伝統を味わうことができます。こんなに気軽で楽しい伝統文化はそうはありません。ぜひ、ご自宅で作って飲んでみてください」 デイリー新潮編集部
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