デブリ取り出し中断 福島第1原発2号機 準備作業で初歩的ミス 東電謝罪、再開は未定
東京電力は22日、福島第1原発2号機からの溶融核燃料(デブリ)取り出しの準備作業を開始したが、初日の目標としていた取り出し装置が「隔離弁」を通過する前に中断した。デブリの取り出し装置を後方から押し込むためのパイプの正しい取り付けができず、同日の作業を断念した。東電は「初歩的な事象」と認め、謝罪した。人為的ミスで作業が停滞する事態に専門家からは批判の声が上がった。 東電によると、準備作業中に起きたミスは【図】の通り。取り出し装置はデブリを挟む爪形の器具が先端に付いており、後方から「押し込み用パイプ」と呼ばれる1・5メートルの円筒状の機器を5本つなぎ、格納容器内に挿入する仕組みとなっている。東電は22日午前7時25分ごろから格納容器貫通部と外部をつなぐ「隔離弁」の奥に装置を入れるための準備作業に入った。協力企業の作業員があらかじめ並べてあった押し込み用パイプの1本目を接続しようとした際、順番に並んでいないことに気付いた。仮にそのまま接続していた場合、途中で作業が止まってしまう可能性があった。
押し込み用パイプの内側には電力を送るケーブルなどを通しており、順番を入れ替えるには一度ケーブルを引き抜く必要がある。入れ替えには数時間かかることから東電は現場の高い放射線量などを踏まえ、作業開始からわずか1時間半となる午前8時55分ごろ、中断を判断した。 東電はミスの詳細な原因は「確認中」としているが、パイプにケーブルを通す7月の作業時に順番を誤ったとみている。着手日まで見過ごしていたとみられる。パイプには接続する順番を示す番号が記載されていた。東電の担当者は「現場の作業員に情報が伝わっていなかった可能性もある」として情報共有の甘さが一因との見方を示した。 パイプ型装置は、隔離弁から約40センチ手前にとどまっている。東電は隔離弁を装置が通過していないことから、22日に予定していた廃炉工程の第3期に入る「取り出し着手」には至っていないとした。 作業の再開について東電は「24日以降」としながらも具体的には「未定」とした。原因究明を早急に進め、再発防止策や作業再開の具体的な日程を公表する考え。