遺産センター12月22日開館予定 母間地区でロードキル対策 徳之島世界自然遺産推進協総会
鹿児島県・徳之島3町の官民で構成する「徳之島世界自然遺産推進協議会」(会長・森田弘光天城町長)の総会が12日、天城町役場で開かれた。オンラインも含め関係者26人が参加。国の特別天然記念物アマミノクロウサギのロードキル(交通事故死)多発地点である徳之島町母間地区への防護ネット設置やエコツアーガイド育成などを柱とした2024年度活動計画など6議案を承認。同協議会でオブザーバーを務める環境省徳之島管理官事務所から、徳之島町花徳に整備中の徳之島世界遺産センターを12月22日にオープンするスケジュールが示された。 同協議会は奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島の世界自然遺産登録を受けて23年5月に設立。島内3町と関係機関が連携して、①情報の収集と共有②自然環境の保全と活用③人材育成④民間企業との連携⑤催事や普及啓発―など世界自然遺産に関する6項目に取り組む。 森田会長は「徳之島の世界自然遺産の価値を保全、活用していくためには島が一つになって取り組むことが肝要であり皆さんの協力が不可欠。活動について活発な議論をお願いしたい」とオール徳之島で取り組む姿勢を強調した。 24年度予算は収入、支出それぞれ231万2千円。主な支出は旅費75万円、ロードキル対策業務委託費80万円など。収入のうち186万2千円は同協議会が管理、運用する「ユイの島徳之島世界自然遺産基金」からの繰入金。同基金の今年度末の残高見込み額は681万8034円。 活動計画は▽アマミノクロウサギのロードキル防止のための防護ネット設置▽情報発信のためのウェブサイト更新▽エコツアーガイド育成研修実施―の3点が柱。今年度は都市圏でのPR事業や自然観察の際のマナーをまとめた冊子の製作を加えた。 議事終了後の意見交換では、世界自然遺産推進共同体(事務局・日本航空奄美営業所)が、イモリ、キノボリトカゲ、ヤモリ、ヤドカリ、クワガタ、チョウなどを機内に持ち込もうとする事例が、7~9月に奄美空港で増加していると報告。23年7月には数百個体を島外に持ち出すなど、明らかに営利目的とみられる事例が2件あったことを伝え、「希少種に限らず、島にすむ生き物の持ち出しを禁じる措置が必要」と訴えた。
奄美の南海日日新聞