【バレー】“大塚達宣たちの世代”荒井大雄が人生二度目の全国制覇「バレーボールを捨てられない」と確かめた、安田学園中でのコーチ生活と次の夢
光野中時代に全国制覇を遂げた荒井が安田学園中でコーチに
今夏、バレーボールの「第54回全日本中学校選手権大会」(全中)で20年ぶり3度目の優勝に輝いた男子の安田学園中(東京)。そのチームには、自身も中学生時代に日本一に輝いた経験を持つコーチが携わっていた。 【ギャラリー】3度目の頂点に立った安田学園中。全中での戦いの模様 安田学園中では優勝祝賀会が、10月18日に催された。特にこの2024年度を戦ったチームは都の新人大会に始まり、都の選手権、関東大会そして全中と“年間グランドスラム”を達成したとあって、会場には各大会の優勝旗やトロフィーがところ狭しと飾られていた。そのなかの一つ、全中の優勝旗は実に50以上の歴代優勝校のリボンで彩られている。 そこに、彼の名前があった。2015年の第45回大会の優勝校である光野中(石川)。主将の部分に刻まれたのは、荒井大雄の名。その当の本人がこの日、優勝祝賀会の場にいた。 「当時は僕たちも『自分たちが優勝するだろう』くらいのメンタルで大会に臨んでいましたから。もしかしたら今回の彼らと似ている部分はあったかもしれないです。実際に、僕たちも1セットも落とすことなく優勝できたので、そこも似ているかなと思いますね」 なぜ、OBでもない荒井がいたのか。その答えは簡単。安田学園中で今年度、コーチを務めていたのである。
安田学園中の「守備力にびっくりした」と荒井
「最初は全然、コーチをするつもりもなかったんです。ただ時間があったので、中学生の時から面識があった(安田学園中の)平栁浩先生にあいさつに伺ったのがきっかけです。『それならボールを出してくれ』と言われて、練習に参加したら自分のボール出しがよかったみたいで(笑) そうしてコーチとして携わることになりました」 そう振り返る荒井は1年前の春に東京学芸大を卒業し、教員を目指してそのまま大学院に進み、現在は大学院の2年生。実際、本格的に安田学園中の指導を始めたのは今年の夏前からで、6月以降は週に一、二回のペースで、夏休みになってからはほぼ毎日、チームの練習に付き添った。 「僕自身、大学でもがっつりバレーボールをしていましたが、安田学園中の選手たちはスリーメン(3人レシーブ)で思いきりボールを打っても拾うほどで。それこそ大学生相手に打っているのかな、と思うくらいの守備力にびっくりしたのが第一印象でした」 チーム自体は昨年度の全中で第3位の成績を収め、そのレギュラーの大半を当時2年生の面々が占めていたことから、今年度は“優勝候補筆頭”の呼び声が高かった。荒井はコーチとして練習に加えて、自身がこれまでの競技生活で学んできた戦術やレシーブの配置、相手チームとの駆け引きなど高度なレベルの指導を選手たちへ授けた。