悲恋の物語、野外で熱演 劇団SCOT・鈴木さん演出 黒部シアター開幕
黒部舞台芸術鑑賞会実行委員会の「黒部シアター2024秋」は28日、黒部市のYKK前沢ガーデン野外ステージで開幕した。19年開催の国際演劇祭「シアター・オリンピックス」で生まれた黒部の舞台芸術文化の芽を育む公演で、約180人が劇団SCOTを主宰する世界的演出家、鈴木忠志さんの独自の演劇世界に浸った。 演目は14年にSCOTの拠点である南砺市利賀村で初演された「講談・からたち日記由来」で、今回初めて屋外の舞台で披露された。島倉千代子が昭和に歌ってヒットした「からたち日記」の成り立ちを大正時代に実際にあった心中事件を題材として、歌いながら語る歌謡講談に仕立てた。役者3人がチンドン太鼓やクラリネットの調べとともに悲恋の物語を熱演した。 主人公の女優は老女や恋に落ちた若妻の声色を自在に操り、歌声を闇の向こうまで響かせた。観客は虫の音と夜風に包まれた自然の中で、非日常世界をたっぷり堪能した。 ●𠮷田相談役も鑑賞 上演後、堀内康男実行委員長が「世界に誇ることのできる舞台だ」とあいさつし、黒部シアターの継続を誓った。鈴木さんも1企業が整備した唯一無二、かけがえのない文化施設だと強調し、「富山県、黒部市、YKKももっと自慢してほしい」と語った。実行委会長の𠮷田忠裕YKK相談役も鑑賞した。 29日も午後6時半から上演される。