残念な岡田監督の引き際 50年前「永久に不滅です」 書く書く鹿じか
妻が毎土曜日の朝、近くの公園で行われる太極拳の会に参加している。高齢者が多い。休んだことのない人の姿が見えないので、何かあったのかと心配していると、「大谷翔平選手の試合を見ていた」とLⅠNEで連絡してきた。 【写真】「お前ら、暑いからそこににおるんやろ」虎番に話しかける阪神・岡田監督。記者らとのコミュニケーションも 10月12日、NHK総合テレビが中継したナショナル・リーグの地区シリーズ第5戦は、パドレスのダルビッシュ有、ドジャースの山本由伸の両日本人投手の投げ合いという話題性もあって、平均世帯視聴率が20・3％（ビデオリサーチ調べ、関東地区）を記録した。土曜の午前中としては驚異的な数字である。 「ヒリヒリする9月」に続いて、10月も大谷選手が楽しませてくれる。日本中がドジャースファンになってしまったのではないか。僕も選手の名前と顔を覚えてしまった。 関西大学の宮本勝浩名誉教授が、ドジャースがワールドシリーズに進出したと仮定して、大谷選手の経済効果を1168億円と試算した。昨年の阪神タイガース優勝の969億円を上回り、「1人のアスリートの活躍結果というレベルのものではない。大谷選手がコマーシャルに出演している企業が信頼を高めて、それらの企業の品物やサービスを購入する社会現象が起きている」という。 大リーグの試合はパワーとスピードに圧倒される。加えて、さまざまな記録がひもとかれ、過去の名選手たちがよみがえる。米国で野球というスポーツがいかに大切にされ、楽しまれてきたかがわかる。そこで大谷選手が「史上最高のプレーヤー」と称賛されている。日本人として誇らしい。 シーズンが終わるとすぐにプレーオフに突入するのもいい。ワイルドカードという仕組みもよくできている。対して日本のプロ野球は、リーグ優勝が決まってからクライマックスシリーズ（CS）までにかなり間隔が空き、盛り上がりに水がさされてしまう。毎年、どうにかできないかと思うのだが、臨機応変に試合日程を組むのがそんなに難しいのだろうか。 球団史上初の連覇が期待された阪神はセ・リーグ2位に終わり、CSもファーストステージであっけなく敗退した。それは仕方がない。しかし、今シーズン限りで退任する岡田彰布監督の「最後のあいさつ」がなかったのはどうしたことか。球団側は「体調がおもわしくなく、ベンチからマウンドに移動するのも危うい状態」と説明したが、退任をめぐって軋轢（あつれき）があったのではと勘ぐってしまう。人気球団だからこそ、ファンに疑念を抱かせてはいけない。
50年前の昭和49（1974）年10月14日、「ミスター・プロ野球」と呼ばれた長嶋茂雄さんは、後楽園球場のマウンド上でスポットライトを浴び、「我が巨人軍は永久に不滅です」という名セリフを残してグラウンドを去った。（元特別記者 鹿間孝一）
