【議論沸騰】スキー場での飲酒は“マナー違反”か否か 「レストハウスで売っている」「酔った状態での滑走は危険」…将来的には「場内全面飲酒禁止」もあり得るのか
プロスキーヤーも過去に“問題提起”
スキー場でのアルコール摂取については、すでに2021年、プロスキーヤーの吉田勝大さんが自身の公式YouTubeチャンネルで問題提起していた。吉田さんは、アルコール販売を全面的に否定しているわけではないとしたうえで、飲酒スキーの実態に、“もしかしたらいつか問題が起こるのではないか”と不安になったことを告白。X(当時のTwitter)で募集した意見を発表した。 動画で紹介された声は、「アルコール類の販売はいいと思う。気持ちだけでルール化すべきでない」「法的に問題がなくても、そもそも危険行為なのだから禁止すべき」など、様々な意見があった。吉田さんは、「スキー場が、今より少しでも誰もが安全に楽しめる場所になればと思う」と暗にマナー遵守を呼びかけた。
スキー場の見解は「酔った状態での滑走は危険」
実際、スキー場の運営会社はどう思っているのか。前述「スノースポーツ安全基準」では飲酒により『心身が正常でない状態で滑走すること』を禁止しているが、“心身が正常でない状態”の解釈として、人によっては「ビール1缶ならそれほど酔わないし、特に影響はない」と考える利用者がいるのは想像に難くない。 冒頭のXで話題となった“現場”である、九州最大規模を誇るスキー場「九重森林公園スキー場」(大分県玖珠郡九重町)に話を聞くと、担当者は「酔った状態での滑走は危険と考えており、張り紙や館内放送による注意喚起などを行っています」と対策を話す。一方で、「アルコール類の提供中止」や「飲酒の全面禁止」には、なかなか踏み出せない事情があるという。 「スキー場はスキー・スノーボード等をするスポーツ施設ではありますが、リゾートという側面もございます。現状では、ゲレンデやレストラン、ハウス内等で酩酊状態のお客様にはお声をかけさせていただき、滑走禁止を通告することはございますが、その他の状況であれば利用者のモラルに委ねております」 担当者は、「この議論の先には『スキー場内全面飲酒禁止』というリゾート施設としましてはあまり望ましくない状況も考えられます」とも話した。個々人が判断するしかない問題だからこそ、周囲への迷惑にならないように留意したい。