「カメ止め」の上田慎一郎監督、新作を「新しい名刺」に 「アングリースクワッド」公開
「カメラを止めるな!」の大ヒットで時の人となった上田慎一郎監督(40)。4本目の長編作「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」が公開される。内野聖陽(56)、岡田将生(35)ら、そうそうたる出演者を集めた。「気づきの多い撮影でした。『カメ止め』に代わる新しい〝名刺〟にしたい」と大型作品に自信と意欲を見せる。 マ・ドンソク主演の「元カレは天才詐欺師 38師機動隊」が原作だ。税金徴収課の課長が詐欺師集団を率いる天才的詐欺師とともに悪徳滞納者を懲らしめる。全16話の韓国ドラマだ。 「カメ止め」が話題沸騰中だった平成30年に、旧知の映画プロデューサーから映画化を持ち掛けられた。 「群像劇のエンターテインメント作品である点が『カメ止め』と共通していたからではないか」と振り返る。 すぐに脚本作りに手をつけた。「相棒」などの脚本家、岩下悠子も合流したが、16話のドラマを2時間の映画にするのは難航し、13回も書き直した。 「本筋である公務員が詐欺師とタッグを組む面白さに集約しよう」と恋愛要素は捨てた。 一方で、主演を内野にオファー。内野も脚本作りに参加したが、主人公の人物造形に納得がいかない。2人で顔を突き合わせて何度も話し合った。 こうして税務署員と詐欺師集団が〝脱税王〟の悪徳社長を相手に、だまし、だまされる痛快な物語を書き上げた。 コロナ禍や映画界のハラスメント問題が噴出した時期をはさんだ影響もあって、理不尽さに対抗する「怒り」をオリジナルのテーマとして据えた。 「怒りを忘れた人たちが、怒りを取り戻す話でもある。だからアングリースクワッド(怒りの部隊)」 撮影も俳優たちと議論を重ねながら進めた。内野、岡田のほかに川栄李奈(29)、真矢ミキ(60)、小澤征悦(50)、吹越満(59)、皆川猿時(53)ら。百戦錬磨のつわものたちだ。 「キャラクターのことは俳優が一番分かっている。皆、積極的に意見をくれて、それが正しいことが多かったですね」 コロナで倒れ自宅からリモートで撮影を続ける苦労もあったが、現場を俯瞰できたことで、多くのことを学んだ。