米の「ブラック・ヒストリー・マンス」にちなみ映画上映会 札幌国際プラザ
【北海道・札幌】札幌における国際交流の拠点・札幌国際プラザ(札幌市中央区北1西3)では、定期的にアメリカの文化を「映画」を通じて紹介しています。2月は「ブラック・ヒストリー・マンス」と呼ばれる「黒人の功績・歴史を振り返る」月間として、アメリカでも黒人の歴史に関するイベントが数多く行われます。その一環として開催されたのが、在札幌米国総領事館主催の『Driving Miss Daisy』上映会です。
黒人の功績や歴史振り返る米映画
この『Driving Miss Daisy』は、1989年にアメリカで製作された映画で、アカデミー賞の4部門を制覇した名作です。ジェシカ・タンディ演じる高齢のユダヤ系未亡人(80歳という最高齢でのアカデミー賞主演女優賞受賞)と、モーガン・フリーマン演じる黒人ドライバーの交流を描いた作品ですが、その舞台となっている20世紀中盤というのがアメリカに根強く人種差別が残っていた時代なのです。 今回、この映画を題材に選んだ理由を、ハービー・ビーズリー領事(広報文化交流担当)はこう語ります。 「今のアメリカの状況とはだいぶ違いますが、自分の両親はまさにこの時代に生きていました(黒人やユダヤ人が差別されていて、ルーサー・キング牧師が差別撲滅に取り組んでいた時代)。そして、アメリカの南部では言葉の表現や食事が全然違うので、それもアメリカの文化的な部分で楽しめたのではないかと思います」 2月のアメリカでは、学校ではゴスペルのコンサートや講演会が、図書館では黒人の歴史に関連する書籍が特集されるなど、さまざまな場所で黒人の功績・歴史を再確認するイベントが開催されます。 ビーズリー領事が『Driving Miss Daisy』を見て強く感じるのは、「アメリカ社会の流れがとてつもなく早いこと」。「この映画の時代の人々は、数十年後に黒人の大統領が誕生することなど誰も想像していなかったと思います。自分自身、さまざまな差別があったことを聞いていたので映画を見て驚くというよりは、この数十年間という間でアメリカ社会がものすごいスピードで変化しているなと実感します」と話しました。 映画上映後は参加者との質疑応答が行われ、ビーズリー領事は映画の内容における細部に渡るまで、アメリカの文化的背景を紹介しました。これまで10回以上、このような映画上映会が開催されていますが、定員の50人をはるかに超える応募があり、過去最高の参加者数となりました。今後も同プラザでは、アメリカはもちろん諸外国の文化を映画で紹介していく予定です。 (ライター・橋場了吾)