「ゴミうんち展」(21_21 DESIGN SIGHT)開幕レポート。見えないものの存在から新たな可能性を探る
東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT で、企画展「ゴミうんち展」がスタートした。会期は2025年2月16日まで。展覧会ディレクターは佐藤卓(グラフィックデザイナー、21_21 DESIGN SIGHT ディレクター・館長)、竹村眞一(京都芸術大学教授、NPO法人ELP代表、「触れる地球」SPHERE開発者)。 自然界の循環において「ゴミ」や「うんち」は必ず含まれるものだが、それらはブラックボックスで隠され、我々生活者が目の当たりにする機会は今日少ないだろう。本展は、そういった社会問題にもなってしまっているこのふたつの存在にフォーカス。身の回りから宇宙までの様々な「ゴミうんち」を取り上げじっくり観察することで、社会問題のみにとどまらない多様な面を提示するものとなっている。 来場者はメインビジュアルからタイトル「ゴミうんち」が消えていることに気がつくだろう。これは「自然界にはゴミやうんちが存在しない?」「ゴミうんちは見えないもの・消えてしまうもの」という認識を際立たせるためだという。見えないものに目を向ける、という展覧会の体験意図が際立つユニークかつ戦略的な試みと言えるだろう。 本展について、ディレクターの佐藤と竹村はそれぞれ次のようにコメントしている。 「普段デザインの仕事をしていると、大量生産品に携わることもある。それだけ資源を消費しているということであり、使い終わったらゴミ箱へ捨てられる。デザインは製品のある一部分に関わる仕事ではあるが、その素材はどこから来て、ゴミとなったあとはどこに行くのか? ということを前から気にしていた。今回は、『Water』展(2007)や『コメ』展(2014)でも企画を務められた竹村さんとの共同ディレクションとなる」(佐藤)。 「日本のデザインミュージアムがゴミうんちを取り上げるのは非常に重要なことだ。江戸時代の日本ではゴミうんちも人の生活における循環活動のひとつ(pooploop)としてとらえられていたが、現在では汚いものとして目を背けられている。本展は、そのような循環活動を新しい視点から取り上げ、それを届けたいという意図がある。視点の転換をもたらすのがデザインの役割なのではないか」(竹村)。
文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)