娘にHPVワクチンのお便りが届いた 性交渉の経験は確認しないといけないの?…「ある」と子宮頸がん予防の効果はどうなるか
キャッチアップ接種も実施
ワクチンは小学6年から高校1年生相当になる間に、2回か3回接種します。15歳未満で1回目を接種すれば、「9価HPVワクチン(シルガード9)」の場合、2回で済みます。 厚労省は、積極的な接種の推奨を控えていた時期があったことを踏まえ、1997~2007年度生まれで、過去にHPVワクチンを計3回受けていない女性は、25年3月まで、公費でワクチン接種を受けられるよう、「キャッチアップ接種」を実施しています。こうした方々も含めて、接種について検討してみるとよいでしょう。
HPVの誤解
HPVは、性に奔放な人だけがかかるものではありません。約8割の人は、HPVに感染するとされ、ごくありふれたウイルスです。つまり、だれがHPVに感染していても不思議ではないし、女性であればだれでも子宮頸がんになる可能性があるのです。 HPVは、感染しても多くの場合は、何も問題はないのですが、一部は子宮頸がんの前段階である前がん病変となります。そして、がん検診で見つかることなく進行してしまうと、何年もかけて子宮頸がんになっていきます。患者さんが多いのは、20歳代後半から40歳代です。 若いから大丈夫ではない、だれもがかかる可能性があるがん――。それが子宮頸がんです。ちょうど結婚や妊娠を考えている時に、子宮頸がんと診断されることも少なくありません。ワクチン接種とがん検診をセットで行うことで、子宮頸がんを発症する可能性を少なくすることができます。
男性への接種を助成する自治体も
昨年、子宮頸がんでお亡くなりになられた方が「予防できることを知っていたら予防したかった」とお話しされていたのが忘れられません。 娘さんのウェルエイジングのためにも、防げる病気を防ぐことはとても大事なことです。それでもやっぱり心配という場合は、ぜひかかりつけの産婦人科でご相談ください。 HPVは、子宮頸がんのほか、肛門がんや尖圭(せんけい)コンジローマの原因ともなります。いずれもワクチンで予防することができ、一部の自治体では、男性の接種希望者にも助成が行われています。