日本の老舗カーナビメーカーが“本気で”開発したスマホ用最新「ナビアプリ」がアウディから登場 純正ナビとはどう違う?使ってわかった◯と×とは
月々550円の価値はあるのか
そして、インフォテイメントシステムと組み合わせて実現できる表示が、スマートフォンとのデュアル表示です。 ルート案内中は、インフォテイメントシステムのモニターに地図を表示し、同時にスマートフォン上に交差点リストを表示して先の先まで進行方向を確認できるのです。
音声案内の充実ぶりも見逃せません。一般道では、「△m先、右(左)方向です」「まもなく右(左)方向です。○○方面に向かいます」といった一般的な案内のほか、車線ガイドとして「中央車線がお勧めです」とか「突き当たりを右(左)方向へお進み下さい」としても案内。また、次の分岐点までをおおよその時間で案内したりもします。 また、マップ上には信号表示だけでなく、一時停止や踏切があればそれを音声で読み上げて警告します。 高速道路では、「△km先、○○方面へ右(左)方向です。右(左)車線を走行して下さい」「km以上先、渋滞が発生しています」「この先、左からの合流があります。ご注意下さい」「km先、○○料金所です」といった音声で丁寧に案内していきます。 ただ、これだけ充実した機能を持ちながら、一般道での交差点名や周辺にある施設などは読み上げません。テキストを読み上げれば可能だと思うので(実際、高速道路での分岐点ではそれを実現しています)、この機能はぜひアップデートで対応してもらいたいところです。 それと他のナビアプリと同様、自車位置の測位はGPS衛星からの電波を受信して行っています。ほとんどの場合で大きな誤差は生じませんが、ビル街の谷間に入った時などでは反射波の影響を受けて誤差を発生する可能性があります。 ただ、実際に走行したところでは誤差を発生することなくルート案内を続けることができていました。 これは、GPS衛星からの電波をロストした時でも、それまでに走行していた速度から推定航法を継続していることが幸いしているのだと思います。ただ、注意すべきは長めのトンネルに入った時。トンネルに入った時の速度を元に一定速度で自車位置を表示することができますが、そこで誤差が発生してもトンネルが短ければそれほど影響は出ません。 しかし、東京都内にある山手トンネルのような長さでは誤差が累積されて正しい案内ができなくなってしまうのです。当然、この方式では首都高・都心環状線の三宅坂トンネル内の分岐にも対応することはできません。実際、今回の検証でもこの誤差によって大橋JCT出口のポイントを間違えてしまったことがありました。 この対策として、スマートフォン内のジャイロセンサーを活用する方法も考えられますが、アプリを開発したパイオニアによれば、「(スマートフォンの)取り付け角度により、確かな精度が得られない可能性もあって採用はしていない」とのことでした。 ※ ※ ※ ここまでアウディナビアプリの検証をレポートしてきましたが、ポイントは月額550円を新たに払う価値はあるかということです。 アウディには前述したようにオリジナルの純正ナビが備えられており、これを使いこなして機能面でも使い勝手の面でも十分となればこの出費は不要となります。ただ、私の印象では、これを使いこなすのにずいぶんと悩んでしまうことがありました。もし、同じような思いを持っているとすれば、アウディナビアプリを使ってみる価値は十分あると思います。 また、少しでも予算を削りたいのであれば、アウディならではのオリジナリティはなくなりますが、コッチを使うのもいいでしょう。こちらも最初の1か月間は無料で使え、月額350円。毎月200円安く、年間なら2400円、3年間なら7200円安くなります。 しかもコッチには機能面で制限はあるものの、無料版が用意されているのも見逃せません。 無料アプリが数多くあるナビアプリの中で、あえて有料化してアウディのユーザーに訴えかけた「アウディナビアプリ」。気軽に誰でも導入できるスマートフォン用ナビアプリという形で登場したことで、ユーザーにとっても高い利便性が与えられたのは間違いありません。まずは1か月間、無料で使ってみてはいかがでしょうか。
会田肇