〈消えた3,000万円〉高齢父の死後、預貯金の消失が判明…二男の嫁が乗り回す高級外車に向けられた、疑惑の視線【弁護士が解説】
高齢の父親が亡くなり、資産状況を整理したところ、ここ数年で3,000万円もの預貯金がなくなっていることが判明。長男は二男を追及します。しばしば問題となる「親のお金の使い込み」ですが、どのような対処法があるのでしょうか。不動産と相続を専門に取り扱う、山村暢彦弁護士が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
介助はほぼ不要なのだが…高齢父のもとに入りびたりる二男夫婦
80歳で亡くなった父親の相続について、相続人である2人兄弟がトラブルになっている。相談者は長男。 母親は10年前に亡くなっており、ひとり残った父親は多少のサポートが必要とはいえ、ほぼ自立した生活ができていた。 長男と二男はそれぞれ20代で結婚し独立しており、実家のある横浜市の近隣で自分の家族とともに生活していた。 父親は亡くなる5年ほど前から持病が悪化し始めたが、それをサポートするという名目で、二男とその配偶者がしきりに出入りするようになった。当初は感謝していた長男だったが、認知症もなく、ちょっとした買い物にも自分で行ける父親のところに、平日は二男の配偶者が、土日は二男夫婦が通い詰めることに疑問を感じるようになった。 長男が実家に足を向けると、二男夫婦は明らかにイヤそうなそぶりを見せ、父親との会話もままならない。 その後しばらくして、長男のもとへ二男から父親が入院したとの連絡が入った。慌てて病院に行くと、すでに会話ができない状態であるばかりか、入院したのは1カ月以上前とわかり、激しい兄弟げんかに発展した。 その後、父親が死去。相続手続きが必要となり、資産状況を整理したところ、ここ5年で3,000万円もの預貯金が下ろされていること判明。 長男は二男の使い込みを疑うと、二男は一部を介護や日常の買い物で使ったことは認めたが、それ以外については何も知らないと主張。 二男の言い分は、 ●足腰が弱った父親のため、自分と妻がケアを続けただけで、長男の話は言いがかりだ。 ●貯金のうちのおよそ500万円は、父親の病院代や買い物、その他のケアで使ったが、領収書は捨ててしまったため証明できない。 ●父親を見張っていたわけではなく、ほかの預貯金についてはわからないし、知らない。 ●ほとんど実家に顔も出さない長男に、文句を言われる筋合いはない。 というものだった。 一方の長男の言い分は、 ●高齢で堅実な生活を送ってきた父親が、ここ5年で3,000万円もの貯金を使うとは考えられない。 ●父親は自立しており、認知症もなく、近隣なら買い物にも行けたのに、日参してまで世話を焼くのはおかしいと感じる。 ●二男の配偶者が最近高級外車を購入しており、資金の出どころを疑う。 ●実家を訪問しても、二男夫婦が邪魔をして父親と2人で話せないことから、父親とコミュニケーションをとると困ることがあるのではないかと疑う。 ●入院したことを隠すなど、情報共有がないことに強い不信感がある。 というものだった。 長男は、二男による父親の貯金の使い込みを疑うが、二男はそれに激しく反発。2人の関係は緊張状態となっている。