【虎に翼】“生理”“虐殺”につづき…またもタブーに切り込んだ 「異例の朝ドラ」と再確認
「あの戦争とは何だったのか…」
「虎に翼」の最新回に話を戻そう。原告の弁護団長を務める雲野六郎弁護士(塚地武雅)は、第五福竜丸事件を受けての決意をこう語る。 「忘れ去られることがないように。同じ過ちを繰り返さぬように。誰かが声を上げねばならん」 寅子ら裁判官も、原爆をめぐる国家賠償請求の裁判を前に、多岐にわたる争点について考える。 「国際法の問題。戦争とは…、戦争のルールとは何か」 「原子爆弾とは何か。日米関係のこれまでとこれから。犠牲者の方々とどう向き合い、これからの教訓とするのか」 それぞれが自問自答し、最後に寅子がこうつぶやいて遠い目をする。 「そもそも、あの戦争とは何だったのか…」 戦争や原爆投下の責任を裁くという法律的にも難問に立ち向かうことになった寅子。国際法、憲法、国内法…などを踏まえ、かつてないほど非道な行為である原爆投下について、戦勝国である米国との関係も見据えて判決を下さなければならない。弁護団長の雲野の思いに、寅子の元同級生で弁護士になったばかりの山田よね(土居志央梨)や轟太一も賛同する。あまり多くは語らないが、よねに一目置いてきた寅子もおそらく気持ちは近いのでは? と想像される。 寅子はエリート裁判官と愛を育み、子連れ再婚に向かいつつある。モデルになった三淵嘉子さんの「史実」を踏まえつつ、原爆をめぐる訴訟の判決と二度目の結婚という大きなイベントをどう乗りこえていくのか。ドラマはちょうど人生の大きな転機にさしかかっている。いったい寅子はどんな判決文を書くのだろうか。 水島宏明/ジャーナリスト・上智大学文学部新聞学科教授 デイリー新潮編集部
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