コインベースのアームストロングCEO:業界を生き残る最後の大物【最も影響力のある人物 2023】
暗号資産(仮想通貨)業界では、大物創業者やCEOが現れては消えていく。しかし、ブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏は永遠の存在なのだろうか? 40歳になるコインベース(Coinbase)のトップが10年以上この仕事に携わってきた今、問う価値のある質問だろう。その間に、彼はほとんどのビジネスパートナーや競争相手が去っていくのを見送り、アメリカの暗号資産トレーダーにサービスを提供する最も重要な取引所を作り上げた。
激しい競争を生き抜く
コインベースは現在、デリバティブ取引を含む新しい商品市場に参入する、収益性の高い方法を見つけている。数週間後には、規制当局の承認を得た多くのビットコイン(BTC)ETFに対して、カストディを提供しているかもしれない。コインベースは、ほとんどの発行業者のパートナーとして選ばれている。 アームストロング氏のビジネス上の最大の敵たちは、アメリカ政府によって打ち負かされてきた。 FTXがサム・バンクマン-フリード元CEOの巨額詐欺の重圧で崩壊する前、バンクマン-フリード氏はアメリカの先物取引のルールを書き換える計画を立てていた。もちろん、彼が思い描いたようにはならなかった。バンクマン-フリード氏は2019年にFTXを開始し、2022年に辞任。コインベースは、先物取引分野に先月参入したばかりだ。 チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏はもはや、アームストロング氏のトップの座を脅かす存在ではない。バイナンス(Binance)のCEOだったジャオ氏は11月、バイナンスの過去のコンプライアンス上の罪を償うための司法取引の一環として退任した。 バイナンスが世界最大の取引所であり、コインベースの世界的な野望のライバルであることに変わりはない。しかし、その地位を築いた創業者からアイデアやアドバイスを受けることなく、バイナンスは再スタートを切ることになる。ジャオ氏は2017年にバイナンスを立ち上げ、今年、米当局からの複数の捜査に直面したため退任した。 2012年にコインベースを立ち上げたアームストロング氏は、その勢いが衰える気配はない。Eメールで話を聞いたところ、コインベースの人気レイヤー2「Base」のローンチを皮切りに、今年の主な業績をいくつかあげてくれた。ちなみにCoinDeskの「最も影響力のある人物 2023年」には、Baseの設計責任者ジェシー・ポラック(Jesse Pollak)氏も選出されている。 コインベースは今年、新しい国際取引所の開設や、Coinbase Financial Marketsを通じたアメリカでのデリバティブ取引の促進など、暗号資産デリバティブにも積極的に取り組んだ。 「デリバティブは世界の暗号資産取引の75%を占めており、業界は安全なデリバティブ商品を提供するコインベースのような信頼できる規制準拠の取引所を必要としている」とアームストロング氏は語った。