台湾、頼清徳新総統が就任 中国と続く緊張、問われるかじ取り
台湾・台北で20日、総統就任式が行われ、民進党の頼清徳氏(64)が就任した。頼氏は演説で「民主、平和、繁栄」が台湾の路線だとし、中国との統一も独立も求めない現状維持の方針を明言した。米国など民主主義国との連携を強調する一方、統一への圧力を強める中国に対し、「台湾に対する威嚇をやめ、ともに台湾海峡の平和と安定に力を尽くそう」と呼びかけた。 【写真特集】初当選し記者会見する頼氏 頼氏は20日午前、台北中心部の総統府で宣誓を行った。任期は2028年5月までの4年。16年から2期務めた同党の蔡英文前総統(67)の後継となる。台湾で同じ政党が3期続けて政権を担うのは、1996年に総統選に直接選挙制が導入されて以降初めて。 医師出身の頼氏は立法委員(国会議員)や南部・台南市長を歴任し、蔡政権では行政院長(首相)やナンバー2の副総統を務めた。民進党の主席(党首)も兼ねる。1月の総統選では中国に融和的な最大野党・国民党の候補らを破って初当選した。頼氏は日本の各界に広い人脈を持ち、新政権でも対日関係を重視すると発言している。 総統選と同時に行われた立法委員選挙の結果、民進党は第1党の座を国民党に譲り、野党勢力が過半数を占める。「ねじれ国会」の影響で、頼政権が進める重要法案や予算案の審議は難航も予想される。 頼氏の就任式や関連式典には台湾と外交関係を持つ12カ国の首脳らのほか、米国のアーミテージ元国務副長官ら非公式代表団や日台友好を進める超党派の「日華議員懇談会」の約30人も参加した。【台北・林哲平】