英次期政権は前途多難、経済「悲惨指数」上昇の恐れ-労働党勝利でも
(ブルームバーグ): 英国の次期政権は、失業率上昇という痛みを有権者が感じ始める中で、発足数カ月で経済的苦境レベルの上昇に再び直面することになるだろう。
1970年代に失業とインフレの複合的な影響を把握する目的で考案された「ミザリーインデックス(悲惨指数)」は、インフレが落ち着いた影響で最近数カ月低下していたが、英国では今後1年半で再び悪化が見込まれる。今回は仕事がないことが主な痛みになりそうだ。
ウォーリック大学のアンドルー・オズワルド教授(経済学・行動科学)は「基調的な賃金インフレはまだかなり強く、均衡を回復するには失業率が上昇しなければならない。それはこれまでのインフレよりはるかに痛みを伴うだろう」と指摘する。
こうしたトレンドは、英国民に自国経済をより楽観視させることに次期首相が苦労する見通しを暗示する。世論調査によると、7月4日に投開票が行われる下院選(定数650)では、スターマー党首率いる最大野党・労働党が政権を奪還し、過去数十年で最悪の生計費危機に終盤見舞われた14年間の保守党政権が終わると予想される。
2022年10月にスナク首相が就任して以降、悲惨指数は平均11前後で推移し、トラス前首相の短期政権を除けば、1997年に発足したブレア労働党政権以降で最も高い。2桁あったインフレ率がイングランド銀行(英中央銀行)の物価目標(2%)まで最近鈍化し、勤労者の実質所得が再びプラスに転じたことで、悲惨指数は6前後に低下した。
英中銀は、失業率が4%前後から2025年末までに5.5%に向け徐々に上昇すると予測している。
原題:UK’s Next PM Faces Rise in Economic Misery Right After Election(抜粋)
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Irina Anghel