【コラム】サンフランシスコと武漢を走り回る無人タクシー…韓国の自動運転はなぜ足止めされているのか(1)
人工知能(AI)と自動運転技術の急激な発展とともに、中国の武漢と米国のサンフランシスコなどの都市では人が運転に介入しない完全自動運転タクシー(4段階)が商用化されている。人が運転しないだけでなくすべての道路で走ることができる5段階の直前だ。武漢では500台以上の自動運転タクシーが市内を走っており、年末までに1000台まで増える予定だ。150万人以上の乗客が利用しており、94%以上が肯定的な反応を見せた点は自動運転技術の成功的導入を象徴的に見せる。 中国政府の全面的な支援のおかげで武漢市は自動運転技術の巨大な実験室に変貌し、これに伴い関連企業の売り上げも急増した。しかし革新の明るい現実の裏には影のような暗さも存在する。武漢市の自動運転タクシー導入によりドライバーの収入が急激に減少するなど社会的問題の兆しもみられる。収入減少だけでなく今後タクシードライバーの雇用が保証されない危機に直面したのだ。これに伴い近付く未来に直撃弾を受ける現実に対して政府の政策的介入や職業再教育のような補完措置をあらかじめ準備しなければならないという声が高まっている。 米国ではグーグルのウェイモとテスラが完全自動運転技術の市場をリードしている。完全自動運転タクシーのウェイモはすでにサンフランシスコの各地を走っており、夢に見た未来が現実の中に入ってきたことを見せている。テスラはロサンゼルスで完全自動運転タクシー「サイバーキャブ」と無人バスの「ロボバン」を発表することで未来自動運転車市場の競争が激しくなることを知らせた。 米国と中国が自動運転技術競争でリードしているのに対し、韓国は依然として技術導入に消極的だ。完全自動運転技術が未来産業の核心になるのは自明だが、韓国の技術開発と政策的支援に対する関心はとても低い。これは政治的環境と密接な関連がある。 ◇タクシープラットフォーム企業過度に悪魔化 韓国では完全自動運転車導入よりはタクシープラットフォーム規制が論争の中心にある。その過程でタクシープラットフォーム企業はすでに「悪党」のレッテルを貼られた。韓国のタクシー呼び出し市場の強者であるカカオモビリティは政治的議論の中で各種規制により固く締め付けられている。公取委から3年分の営業利益に相当する額を課徴金として科され、あらゆる司法リスクを抱えている。政治が産業を固く締めつける現実は移動プラットフォーム企業の革新を阻害しかねず、これは近付いてくる完全自動運転時代にまともに対処できない結果を招くことになる。自動運転車は移動プラットフォームとともにつながって成長するほかないためだ。 未来を変える革新はヒーローと悪役が戦うマーベルの映画ではない。私たちが韓国のタクシープラットフォーム企業を過度に悪魔化しているのではないのか振り返ってみなければならない。称賛すべきことはして誤った点は指摘するのが穏当だ。タクシープラットフォームは「乗客の選り好み」や「乗車拒否」という単語をなくした。運行されるタクシーの70%以上がカカオモビリティに1ウォンも払っていないということも、世界で手数料が最も安い点も、タクシー運転手の収入を増やしたという事実はほとんど言及されない。