なんでギャル?「おむすび」に厳しい声、出色「海に眠るダイヤモンド」 秋ドラ記者座談会
遅れてきた秋の夜長に楽しむのは、やっぱりドラマ。民放の10月期ドラマは中盤に入りつつあるが、配信サービス「TVer」で1話から見返せるのが今の時代の良いところ。ただ、夜長と言いつつ、朝のドラマも話題になっているようで…。メディア担当記者が語り合った。 ■視聴者離脱も U 9月末からのNHK連続テレビ小説「おむすび」の評判が、いま一つだね。 T 阪神大震災、栄養というメインテーマにたどり着く前に、ギャルの話題が延々と続き、中高年主体の朝ドラ視聴者の離脱を招いたのでは。連続ドラマは最初の1~2週が勝負なのに。橋本環奈の魅力を損なうようなギャル扮装にも、唖然とした。 M 前作の「虎に翼」は脚本のできがよくて、「翌日また見たい」と思わせたが、それがないのも厳しい。 I 同じように過去と現在を行き来する「海に眠るダイヤモンド」(TBS系)と比べると、演出が視聴者の想像力に頼り過ぎている印象だ。ただ、阪神大震災を扱った作品だけに、今後の展開には期待している。 ■オリジナル健闘 I その日曜劇場「海に眠る-」は、今期一番の期待作だ。長崎県の端島を舞台にした発想が面白いし、島を再現したセットも見事。力強い物語が描かれ、さらに70年後の現代につながる謎も提示する。同時に、海に囲まれた島になぞらえて現代社会の閉塞性も描く。2役の神木隆之介をはじめ宮本信子、土屋太鳳、杉咲花ら力量あるキャストもいい。 U オリジナル作では、「全領域異常解決室」(フジテレビ系)も物語の設定では魅力的。不可解な異常事件を秘密の捜査機関が解決し、神話に由来する「ヒルコ」が一連の事件の背後でうごめく。主演は藤原竜也。序盤は設定を生かせていなかったが、歯車がかみ合ってきた感じだ。 I 「潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官」(日本テレビ系)は、警察官とその妹が殺害された父親の復讐のため詐欺組織に潜入し、毎週危険なミッションを与えられるサスペンス。同じ枠の「大病院占拠」などと地続きで、ある種の偉大なるワンパターンの世界に突入しているが、兄妹役の竜星涼と八木莉可子のあえて力んだ演技が魅力的で、目が離せない。 M リーガル(法律)ものの「モンスター」(フジ系)は、趣里が演じる新人弁護士、神波亮子の強烈なキャラクターが目を引く。常識にとらわれない発想で、人間の本質を突いて事件を解決へと導く姿は爽快。人生を達観したような言葉の数々にもひきつけられる。