全英の傷んだ芝問題で主催者とフェデラーら選手が対立。屋根閉じる対策も
テニスの全英オープン、ウィンブルドン選手権の女子シングルス2回戦で、ベサニー・マテック サンズ(米国)が右膝に重傷を負ったことから、ウィンブルドンの芝のコンディションに注目が集まっている。 英ガーディアン紙は、「ウィンブルドンの大会役員はけがが不安視されている中、芝のコンディションについて弁明した」という見出しで、この問題の続報を報じた。 「ウィンブルドンの大会役員は選手たちの芝の状態への不安をなくそうと答えを捜している。複数の選手が、高い気温と乾燥した天気のため、芝がダメージを受ける可能性について懸念を示している」 同紙は18番コートで戦ったクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)の試合後の発言を伝えた。 「これまでとはかなり芝が違う感じがする。非難しているのではない。私は芝の専門家ではないけれど、この気候が芝にとってよくないのだと思う。天気が良くて、気温が高過ぎて、陽射しが強すぎて、全てが乾燥している。公式役員からそう言われた」。 これに対して大会を主催するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クロケー・クラブは反論した。「大会の上級役員がムラデノビッチとリスケの試合中に18番コートを点検しプレー可能な状態と判断した」 さらに「コートの準備は、これまでと細部に至るまで全く同じ基準で行っている。芝は自然のものであり、たいていは4日目から最終日にかけて、ベースラインのあたりがすり切れてくるのが見えてくるようになる」という声明を出した。 主催者は、毎朝、コートの硬さを計測し、水分量が適切かどうか確認しているという。 しかし、コートの状態が良くないことに対する不満の声を他の選手からも上がった。 女子のティメア・バシンスキー(スイス) が、「今年の芝の状態には、がっかりしている。2日目でもう荒れてきていた。同じような話をしている選手は多いと思う。こんなふうに思っているのは私だけではないから、リスクを承知の上で話している。ウィンブルドンを責めているのではない。でも、改善するべきことがあると思う」とコメントすれば、芝の状態を聞かれたロジャー・フェデラー(スイス)も、「芝が枯れてしまっているようになっていて、色が変わっている。少し滑りやすくなることがある」と不満を漏らした。 さらにフェデラーは、「昨日、今日はとても暑かった。芝が傷んでいるのはそのせいかもしれないし、そのようだとも聞いている。選手の意見を真剣に受け取るべきだと思う。特に2人もの選手がそのように言っているのだから」と、芝の状態を不安視した選手の意見に耳を傾けるべき、と主張した 6日の気温は31度まで上昇。暑さのために60人の観客が熱中症などで治療を受けたという。 「先週、ヒースローでは34.5度を記録し、6月としては41年ぶりの暑さだった。最も平均気温が高かったウィンブルドンは1976年で、大会期間中の平均気温は30.8度。今週末も暑くなると予想されていて、2017年大会はこの記録に迫っているようだ」と記録的な暑さについて述べている。 また、インデペンデント電子版は、強い陽ざしから芝を守るために、7日午前中は、ウィンブルドン・センターコートの屋根を閉めたと伝えた。 「オール・イングランドクラブは芝生を守るため、センターコートの屋根を閉じるという普通ではない決断をした」とタイトルをつけて報じ、降雨以外の理由で屋根が閉じられることは珍しいと強調した。 全英オープンを揺るがしている芝問題の今後の展開に注目が集まっている。