トランプ2.0のキーパーソンになったイーロン・マスク、世界を戦慄させる「マスクの野望」
■ 「台湾は中国の不可分の一部」とたびたび発言 マスク氏の軍事的関与は、東アジアにも及んでいる。11月9日、中国共産党系の国際紙『環球時報』が、「マスクが(台湾工場)撤退の噂に、民進党当局が慌てて何をする?」と題した長文の記事で、こう皮肉った。 <アメリカの企業家マスクは、すでに台湾のスペースXのサプライヤーに対して、生産拠点を台湾地域以外の場所に移すよう要求したと、ロイターが最近、消息筋の話として報じた。それは「地政学的観点」によるものだ。(中略)民進党当局の捨てられるのではという焦燥と危惧、心配は、また一段と強まった。(中略) マスクは、西側メディアの取材を受けて、過去に何度も、台湾は「中国の不可分の一部」「(中国による)統一は100%起こる」と述べてきた。また、中国が台湾に特別行政区を設置して、台湾海峡の衝突を避けるべきだとも建議してきた。(中略) 実際、アメリカ大統領選に(マスク氏が)突入してきたので、台湾は「捨て駒」という説が、台湾の島内で引き続き蔓延している。(以下略)> このように、「親中派」のマスク氏が、台湾に「一撃を加える」と見ているのだ。その背景には、テスラの巨大な上海工場が、マスク氏にとって中国への「人質」のようになっていて、中国から離れられまいという読みもあるだろう。 だが私は、そのような考え方は、少し短絡的だと思う。「商人」は「思想」でなく「利益」で動くため、いつだって「金の切れ目が縁の切れ目」となるからだ。 ともあれ、今後はトランプ氏の動向とほぼ同じ比重でもって、マスク氏の動向に注意を払っていく必要がありそうだ。
近藤 大介