【エプソムカップ】厩舎の〝BGM〟ラジオの選局にも意味が!レーベンスティール精神面の成長にひと役/新人記者のトレセン日記
美浦トレセンで記者生活をスタートして1か月がたちました。新入社員の栗栖歩乃花です。今回は日曜のGⅢエプソムカップに出走するレーベンスティールに注目しました。キラッと光るかっこいい鹿毛で、おしゃれなたてがみもステキなんです。 まずは、そのあたりをどのように準備しているのか、担当の飯塚助手に聞いてみると「オシャレとして」キレイに結んでいるのはもちろん、「厩舎の方針でたてがみが手綱に絡まらないようにしている」とのこと。レースに支障が出ないよう配慮されているんですね。馬の体は大きく、たてがみの量も相当ですが、飯塚さん1人であっという間に結んでしまうそう。「だいたい5分~20分くらいかな。嫌がったりすることはないです。ご飯を食べている間とかに結んでいるよ」 そんなオシャレの裏側を教えてもらっていたところ、気になることが…なんと厩舎内にクラシック音楽が流れていたんです。作業するスタッフさんの好みなのでしょうか。それとも馬のため? 田中博調教師に聞いてみました。 「朝や人がいるときには、競馬場での人の声に慣れるようにするために、ラジオをかけていろんな言葉を聞かせるようにしているんだよ。本当は競馬実況とかをかけているのがいいんだろうけど…イレ込んでしまうからね。お昼からの休む時間はヒーリング系の音楽を厩務員の気分でかけているよ(笑い)。今日はたまたまクラシックなだけ」 この試みを始めて1年ほど。「最初は抵抗がある馬もいたけど、今ではラジオを聞きながら寝ている馬もいるくらい。競馬場でも周りの音を気にしないようになってきている」と効果も実感しているようです。 そんな多くの工夫がなされた愛があふれる厩舎で生活するスティールくん。馬名の由来には「生きざまで魅了する馬になるように」とあり、せっかくなので身近にいる方から見た“魅了ポイント”も教えてもらいました。田中博師は「顔じゃないですか。かっこいい。イケメンとかではなくて、強い顔で生命力がある感じ。自分を持っていて、たくましい感じがある。本来は強いと思うんです」と真剣なまなざし。一方で、飯塚助手は「母父がトウカイテイオーで、注目されていた馬だから、(レーベンスティールにも)注目が集まっている。これからも注目され続けて、最終的に種牡馬でも地位を残せたら最高なんだけどなぁ…」と血統面を挙げてくれました。 もちろんレースでの走りでも多くのファンをトリコにしており、田中博師も「競馬に行くと本当に頑張る子なんです」と目を細めます。「昔は落ち着きがなかったし、挙動不審な動きをしていたけど今は落ち着いてきて、気持ちのゆとりも出ているよ」と成長もしているスティールくんが、日曜日のレースでどんなふうに私たちを魅了してくれるのか、要注目です。
栗栖 歩乃花