財布を拾ってくれた人に「お礼に10万円払え」と言われた! 本当に払う必要はある? 元警察官の筆者が解説!
財布を落として拾ってもらったら、お礼をしなければならないと聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、具体的にどれくらいのお礼をしなければならないのかは、知らない人も少なくないかもしれません。もしも「お礼として10万円支払え」と言われた場合、支払う義務はあるのでしょうか。 本記事では、前職が警察官だった筆者の経験も交えて落とし物のお礼について解説します。
落とし物を拾った際の権利
落とし物を拾って警察へ届けると、遺失物法などによって拾得者(落とし物を拾った人)はいくつかの権利が得られます。まずはこの得られる権利について解説します。 ■報労金などを受け取る権利 落とし物の持ち主(遺失者)が判明した際には、落とし物を拾った人(拾得者)は報労金と呼ばれるお礼のお金を請求できる権利が得られます。金額は落とし物の価格の5%以上20%以下です。また交番までの交通費など、落とし物を届ける際にかかった費用も合わせて請求が可能です。 ■落とし物の所有権を得る権利 3ヶ月の保管期間内に落とし物を届けたものの遺失者が判明しなかったときは、落とし物を自分のものにできます。ただし、免許証やキャッシュカードのように個人情報が書かれたものや法律で所持が禁止されているものなどは、自分のものにできません。 また、所有権を主張できる期間は、所有権を取得してから2ヶ月以内です。期間内に引取りをしないと権利は喪失します。
報労金の金額はいくらが妥当?
自分の財布を拾ってくれた人から「お礼として10万円ください」と言われた場合、その金額を支払う必要はあるのでしょうか。前述のように、報労金の金額は落とし物の価格の5~20%です。 例えば、財布の中に10万円入っていた場合は、10万円と財布の市場価格などを合わせた金額から報労金を計算するため、10万円は過大な請求となるでしょう。一方で、財布に100万円入っていた場合は、10万円は5~20%の範囲内のため正当な金額といえます。 それでは、キャッシュカードなどが入っていた場合はどうなるのでしょうか。キャッシュカードは本人しか使えないため、市場価格はないものとして扱われます。そのため、仮にキャッシュカードに数千万円の残高があったとしても、報労金の対象には含まれません。