センバツ高校野球 投打で圧倒「山学ナイン」 挑戦振り返る 夢舞台、楽しんだ /山梨
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は1日、山梨学院が県勢として初めて優勝して幕を閉じた。全6試合で先発したエースの林謙吾(3年)の力投と、怒濤(どとう)のような集中打で日本一に輝いた山学ナインの挑戦を振り返る。【竹田直人】 昨秋の関東大会王者としてではなく、「俺たちはチャレンジャー」をスローガンに甲子園に臨んだ選手たち。今大会開幕戦となった東北(宮城)戦から声出し応援が解禁され、三塁側アルプススタンドからは、伝統のチャンステーマ「BIGWAVE」とともに生徒や保護者らの声援が響き割った。 その後押しを受け、選手たちは聖地で躍動した。主将の進藤天(3年)の左前打で二塁走者の岳原陵河(3年)が本塁へ生還して先制するなど、鍛えてきた機動力を遺憾なく発揮した。エースの林は被安打5、1失点で完投し、東北を3―1で振り切った。 2年連続6回目の出場の山梨学院だが、昨年の春、夏はいずれも1得点しかできず、初戦で敗退。チームにとって甲子園2勝目は念願だった。2回戦の氷見(富山)戦は「絶対に負けられない一戦」だった。初回に失策絡みで1点を失ったが、林には動揺は一切なく、以降はスコアボードに0を並べて完投。打線も4打数3安打1打点の進藤を筆頭に好調で、4―1で悲願を達成した。 3回戦の光(山口)戦は、百戦錬磨の吉田洸二監督にとって転機になった。相手のエースは公立校に現れた好投手。選手たちは中盤に攻略して7-1で初の8強入りを決めたが、指揮官ははつらつとプレーする相手の姿に、光と同じ公立の清峰(長崎)を率いて2009年のセンバツを制したころを思い出していた。「甲子園は生徒たちが楽しむ場所。忘れていたものがよみがえった」と振り返る。 準々決勝の相手は同じ関東地区の名門、作新学院(栃木)。吉田監督から「野球を楽しもう」とグラウンドに送り出された選手たちは伸び伸びとプレーし、打撃で圧倒。三回に打者12人の猛攻で7得点を挙げるなど12―3で制した。 準決勝の広陵(広島)戦は一転、劇的な逆転劇となった。初回に先制されたが二回に追いつくと、試合は膠着(こうちゃく)状態に。動いたのは最終回の山梨学院の攻撃。2番・星野泰輝(3年)の左前打で始まったビッグイニングは、7長短打を集め一挙5点を挙げ、6―1で広陵を振り切り、県勢初の決勝進出を決めた。 決勝の相手は地元の報徳学園(兵庫)。相手の応援歌が響く甲子園で、選手たちは笑顔で躍動した。連投の林は四回にボークなどで2点を失ったが、粘りの投球を続けた。「何としても林を援護する」と期していた星野らは五回、3戦連続となるビッグイニングを作り出す。佐仲大輝(3年)の2点本塁打などで一挙7得点。7-3で制し“山学旋風”が甲子園を席巻した。 13年からチームを率いる吉田監督は「10年間お世話になった山梨に恩返しができた」と感無量だった。主将の進藤は「みんな一戦一戦どんどん成長した。夏の優勝を目指し、明日からまた猛練習です」と視線を先に向けていた。 ◇優勝号外、プレゼント 7日消印有効 「山梨学院の優勝」を報じた1日発行の毎日新聞号外=写真=を、甲府支局に取りに来られる読者を対象にプレゼントします。はがきに、お名前、住所、電話番号を明記し、「優勝号外希望」と書いて、〒400―0858 甲府市相生1の2の31 大同生命甲府ビル5階 毎日新聞甲府支局「号外係」宛てに応募してください。7日消印有効で、抽選の上、当選者に電話連絡します。