「対応次第で辞めずに済んだ」 批判拡大させた舛添都知事の“上から目線”
自身の政治資金の公私混同疑惑をめぐり、東京都の舛添要一知事が15日、ついに辞職願を提出した。21日付で辞職となる見通しだ。舛添都知事は4年の任期をまっとうできず、都知事の座から降りざるを得なくなったが、緊急時のコミュニケーション活動にくわしい広報コンサルタントの石川慶子さんは、「対応次第では辞めずに済んだ」と見る。 舛添都知事「第三者といえるのか」に口元ゆがませる 記者に目をむく場面も
批判を拡大させた「上から目線」
「やっていることがものすごく悪質なわけではなく、また、今までの知事も同じようなことをやってきたのかもしれません。舛添都知事が乗り切れるかどうかは対応次第だと思い、どう説明していくのかに着目していました」という石川さんは、4月以降の定例記者会見をチェック。舛添都知事の対応について「上から目線。説明もくどい」などと手厳しく批判した。 「回答の言葉づかいを聞いていると、『皆さん理解していただかないと』など、理解するのが当然という言い方なんです。『私はそれでいいと思ってたのですが、おっしゃる通り無神経だったかもしれません、申し訳ありません』と一言謝ればいいんですよ。それを、理解をしてほしい、と長々と説明するんです」。 大事なのは、批判に対して謙虚に、そして短く回答し、ひたすら自分のいたらなさを反省する姿勢だと石川さん。記者から批判的な質問が何度も出るようなら、新たなリスクになる可能性があると判断し、謙虚に反省する必要がある。もし、ここで対応を間違えば、今度は『対応が悪い』といって批判が拡大しかねない。「誰でも失敗はありますが、そこでどう対応するかでダメージを最小限に食い止めることができます。舛添都知事は対応が非常に悪いですね。すきだらけって感じでした」。
不信感を一層高めた『元新聞記者の出版社社長』の説明
『舛添都知事 血税タカリの履歴』と題した記事を掲載した週刊文春5月19日号が発売され、舛添都知事の政治資金問題への注目度が一気に高まった。直後の5月13日の定例記者会見を、石川さんは「舛添都知事にとって世論を逆転する最大のチャンスでした」と振り返る。 この日の舛添都知事は、確かに謝罪するつもりだったと石川さんは見ている。実際、会見の冒頭では、「ご心配いただいている方々に心からお詫び申し上げたい」と謝罪。飲食費の一部について、個人使用分の飲食費を誤って計上したなどの事実を明かした。 一方、千葉県内のホテルに会議費名目で支出した件は、会議に出席したという事務所関係者の人数や名前を『政治的機微に関わる』としてとうとう明かさなかった。のちに、この『事務所関係者』は『元新聞記者の出版社社長』へと表現が変わり、舛添都知事への不信感を一層高める結果となる。 「13日にすべて出し切るべきでしたが、情報の出し方が中途半端に終わりました」と石川さん。本来ならば、説明を尽くし、反省点を挙げ、記者からの質問に答えるとともに、償いの方法を示す必要があった。 この償いの中身は、世間の想像を超えねばならないという。「13日の段階で『無報酬で働く』と言っていれば、皆さん驚いたはずです。この他、公用車の廃止や、疑惑の金額に相当するお金の寄付など。それくらいの意気込みを示して一からやり直すと言っていたら、反省の気持ちが伝わったのではないでしょうか」。辞職の少し前に無報酬を打ち出したが、石川さんは「遅いっ」と一蹴した。