短期的には中国政府の完勝でも「終わりではない」香港デモ 立教大学准教授・倉田徹
さらに、中央政府の民主化に対する強硬姿勢が世界に大きく報じられたことで、米国・英国などが関心を強めたほか、台湾の統一地方選で北京寄りの政策を推し進める与党・国民党が歴史的大敗を喫したことにも、香港の情勢を見て台湾の人々の大陸への不信感が高まったことが影響しているとも言われます。中国政府は民主化に消極的との印象を世界中が強めるとともに、世界の香港民主化問題に対する注目度も、デモ以前とは比較にならないほどに高まりました。 このように、今回のデモは、短期的な視点からは学生・民主派の完敗に見えますが、中期的には少なくとも来年前半まで、次期行政長官選挙の方法をめぐる論争は続くはずであり、まだ予断を許しません。また、中央政府がこのデモを機にどのような政策調整を行い、それに香港がどう反応するか、そしてすでに高まった国際社会の関心がどうこの問題に影響するかなど、長期的な課題も考える必要があり、今回のデモの歴史的な意義を結論づけるためには、これからの香港情勢をしばらく見続ける必要があると筆者は考えています。