ドイツのクリスマス市場に車が突っ込む…容疑者はサウジアラビア出身の医師
20日午後7時ごろ(現地時間)、ドイツ・ザクセン・アンハルト州の州都マグデブルク都心で開かれたクリスマス市場(クリスマスを控えて開かれる野外市場)の真ん中にBMWのSUV車が突っ込んだ。車が人波を突破して400メートルほど疾走し、犠牲者が続出した。現地メディアによると、9歳の子どもを含めて5人が死亡し、200人余りが負傷したが、負傷者のうち41人は重傷だ。 【写真】車両テロが発生したドイツ・マグデブルクのクリスマス市場 警察は、事件現場近くのトラム停留所で男性容疑者を逮捕した。逮捕当時の映像を見れば、この男性はこれといった抵抗なしに警察の指示に従って素直に地面に伏せて逮捕された。この容疑者は精神科医で、迫害を受けるサウジアラビア女性たちのドイツ亡命を助ける活動をしてきた。 1974年、サウジアラビアで生まれた男性は、サウジアラビアで専門医の研修を受けていたところ、2006年、ドイツに移住した。2016年に亡命を申請してドイツ永住権を得た後、「20代からイスラム教を信じなかった」として無神論者であることを公開宣言し、ソーシャルメディア(SNS)などを通じてイスラム教を非難してきた。 反イスラム活動で有名になった容疑者は2019年6月、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)とのインタビューで「私は歴史上最も攻撃的なイスラム批判者」「良いイスラムはない」などの論争的な発言を吐き出した。 その後、親族の暴力を避けてサウジアラビアから他の国に亡命しようとする女性たちを助けたりもした。FAZは「彼が5年半間、ドイツとドイツの移民政策にますます反感を抱くようになり、被害妄想の兆候が伺えられた」と伝えた。 ついにこの容疑者は5日、「(ドイツ当局が)私の警告を無視している」とし、「メルケル首相が欧州をイスラム化しようとする秘密計画を持っている。メルケル首相を終身刑に処すべきだ」という内容の書き込みをSNSに投稿した。続いて、9日には「欧米は虐殺と暴力しか知らない」「殺戮をしてこそドイツ人は尊重する」などの言葉も残した。 サウジアラビア当局はテロ活動を理由に昨年からこの容疑者の逮捕をドイツに要請したが、ドイツ側は「政治的動機がある要請」という理由で拒否したという。 テロが起きた翌日、マクデブルク大聖堂ではフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー・ドイツ連邦共和国大統領、オラフ・ショルツ首相らが出席した中で追悼式が行われた。バイデン米大統領は「米国は常に暴力的テロに対抗し、同盟国とともにする」として哀悼声明を出した。