犬かと思ったら…キツネ! 長崎・長与の市街地で目撃情報 専門家「餌づけせず、見守って」
長崎県西彼長与町の市街地で「キツネを見た」という情報が町役場などに寄せられている。キツネは「県レッドリスト」で準絶滅危惧種。本来警戒心が強く人前に姿を見せることはないという。同リストの選定に携わる長崎女子短大の松尾公則教授(73)は「野生のキツネを見られるのは、ある意味ラッキー。そっと見守って」と話す。 12月10日午後6時20分ごろ、同町嬉里郷の会社員女性(46)は自宅近くの路地で車を止めた際に出くわした。犬かと思ったが近づいてくると「フォルム(形)が違った」。慌ててスマートフォンで動画撮影。女性は「長くここに住んでいるが初めて見た。車も人もいたのに逃げなくて驚いた」と話した。 町役場には20日までに計7件の情報が寄せられた。町住民環境課によると目撃場所は嬉里郷や吉無田郷で時間帯は主に夜間。いずれも歩いている姿が見られ、防犯カメラに写っていたケースもあった。 女性が撮った動画を見て松尾教授は尻尾や体の色、顔の特徴からキツネと確認。夜行性で主に野ネズミを捕食するキツネは、子育てのとき以外は単独で放浪し、行動範囲が広い。人家周辺にも生息するが警戒心が強く、まちなかにはめったに出てこないという。人前で逃げなかったことに松尾教授は「餌をもらうなど何らかの形で人慣れしたのかもしれない」と推測する。 しばらくいて、どこかに行ってしまうこともあるという。「本来は野生で生きていかないといけない。もし見つけても餌づけしたりせず、見守ってほしい」と話した。