阪神の藤井捕手が電撃引退!
阪神の藤井彰人捕手(39)が今季限りで17年のプロ生活にピリオドを打ち電撃引退することが12日、明らかになった。藤井はすでに引退の意思を固め、球団に意向を伝えていたが、シーズンの最後まで正式に発表せずにプレーするという藤井なりの哲学を貫きクライマックスシリーズを戦い抜いた。 11日のCS第二戦の巨人戦では、フルにマスクをかぶり、メッセンジャー、中継ぎ陣を好リード。4回には一死一塁からレフト前ヒットを放ち、貴重な追加点につなげ、逆王手に大きく貢献した。 今季は71試合に出場したが、打率.172、わずか3打点とバッティングは低迷。出場2年目の梅野隆太郎(26)が、まだ一本立ちできていないため、鶴岡一成(38)と共に、その経験は、まだ戦力としてチームに必要だったのかもしれないが、170センチ、80キロの小さな体で、キャッチャーという過酷なポジションを17年間も守ってきた藤井は、惜しまれながらの引退決意となった。 藤井の捕手人生は常に正妻争いという競争を強いられた。近大付属高校―近大を経て1998年にドラフト2位で近鉄に指名され、ルーキーイヤーから即戦力として期待されたが、2年目に右膝靭帯を断裂。その後、近鉄では、古久保健二、的山哲也らと正妻の座を争い、2005年からは近鉄のオリックスへの吸収合併に伴う球界再編で、新球団の楽天に分配ドラフトで移籍した。やっと正捕手の座を射止めたが、楽天2年目に野村克也監督が就任すると息子の克則と正妻を競い、その後も、嶋基宏が台頭。2008年には、87試合の守備機会で守備率が10割、盗塁阻止率.429はリーグトップの数字で、専属捕手として起用されていた岩隈久志とのコンビで最優秀バッテリー賞を獲得した。 2010年オフには膝の手術で戦列を離れていた城島健司の代役を探していた阪神にFAで移籍。お立ち台で「男前発言」を行い、「男前」が、藤井の阪神での代名詞となった。111試合に出場した2013年にも盗塁阻止率.371で、リーグ1位の数字を残した。 全盛期は、正確で早いスローイングを誇り、ワンバウンドを後ろにそらさない堅固なキャッチング技術には定評があった。特に天性のリズム感を持った淡々としたリードが評価された職人気質の守備の人だった。バッティングの方は、17年間で1073試合に出場して、通算10本塁打、173打点、打率.236の成績。 球団サイドは指導者としてのチーム残留を検討している。