【サッポロ一番"昆布水冷やし"塩らーめん】2024年の夏をともに過ごした「昆布水」の記憶を、この一杯にとどめておきたくて......:パリッコ『今週のハマりメシ』第153回
さっそく作っていこう。といっても作りかたは単純そのもの。具材も、冷蔵庫にあるものをてきとうにほうりこめばいいだろう。なんといっても主役はスープだ。 まずは麺を好みの硬さにゆで、流水でよく締める。水気を切って器によそい、そこに昆布水適量。 昆布水はとにかく旨味が強いから、いきなり袋の全量ではなく、味加減を見ながら付属のスープを加えてゆく。それから個人的にちょっと油感のブーストが欲しくて、健康のために毎日摂取しているアマニ油もスプーン1杯加えた。 そうしたらあとは、好きな具材と付属のごまを盛りつけるだけだ。メンマ、かにかま、大葉、それから、昆布水ものには間違いなく合う柑橘系のなかから、ちょうど家にあったすだち。あと氷。あぁ、これは絶対間違いないぞ。 まずはズズズとスープをすする。塩味でありながらインパクトあり、ほんのりスパイシーな唯一無二のスープ。そのうまさを、昆布水がぐーんと底上げしていて、想像以上だ。いきなりそのままスープを全部飲み干してしまいそうにうまい。 ぷりぷりの麺もばっちりスープと合っているし、冷やしだから少しとぼしいラーメン感も、メンマが口に入ることによって補完され、その変化が楽しい。 そしてやっぱり入れて良かった、すだち。酸味と爽やかな香りが、冷たいラーメンスープ、昆布水の旨味と融合し、とめどない清涼感が身体中を駆けめぐる。 今年の僕の夏は、昆布水ラーメンに始まり、昆布水ラーメンに終わる夏だったとも言える。ラストにきっちりとうまい昆布水ラーメンを味わえ、もう思い残すことはない。心置きなく、次の季節へと歩き出そう。 最後にひとつ、大切な注意点を。 昆布は当然体にいいものである一方、ヨウ素(ヨード)が多量に含まれており、これは体内で甲状腺ホルモンを合成するために必要なミネラルのひとつだ。ただ、ヨウ素を過剰に摂取しすぎると、逆に甲状腺機能の低下などのを起こすことにもなる。特に、妊娠を考えている女性においては、わずかな甲状腺機能低下が妊娠の確率を低下させることも知られているらしい。 そもそも、昆布をさまざまな料理やだしに使用する日本は、日常的に生活していてヨウ素不足になることはないそうだ。なので、美味しい美味しい昆布水ではあるけれど、あまりに過剰な摂取は避け、たまに「明日は昆布水を使ったあんな料理が食べたいな」と思った前日に仕込んで楽しむ。というような距離感が、僕はいいと思う。まぁ、どんなごちそうもそうだけど。 そのあたりは、情報などをお調べのうえ、ご自身の判断でお願いします。 取材・文・撮影/パリッコ
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