放射線と甲状腺がんの因果関係「考えにくい」福島健康調査検討委・星座長
1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんが多発したが、これについては「(チェルノブイリとは)被曝線量が大きく違うし、検査を始めた時期や精度も違うので、科学的に専門家の意見を聞きつつ、今後も評価をし続けることになる」とした。 放射能の影響だと科学的に決定づける条件としては、「甲状腺への被曝線量とがんの発生の頻度に一定の因果関係があることを証明する必要がある。ただ、事故当時の甲状腺への被曝線量を把握するための調査が少なく、得られたデータも非常に少ないのが事実」と説明した。その上で「実際に受けた被曝線量を推計するのは難しいとしても、これからもしっかりと調査をして、因果関係があるかどうかきちんと評価されるよう努力するべき」とした。 最後に、星座長は5年前の震災と原発事故について、「多くの人々が恐怖にさらされたという事実は変わらない。それは放射線の医学的・科学的な影響を超えて、我々の心に大きく突き刺さっている。ある年代の子供たちからは『もう、私結婚できない」という話もよく聞いた。それを忘れてはいけないと思う。ただ、誤解を受けてそういう思いを持ち続けることはもうあってはならない。ぜひ多くの人に『今の福島』をみてほしい」と語った。 (取材・文:具志堅浩二)