阪神もオリックスも実力チーム同士。だからこそ面白いシリーズになりました【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】
先週末は、毎年恒例になっている長野県泰阜村での野球教室を行っていました。毎年、多くの野球少年・少女に囲まれて元気をもらって帰ってきています。その楽しい時間の中、もちろん日本シリーズもしっかり観戦しています。 【選手データ】近本光司 プロフィール・通算成績 今年、巨人がどうあがいても倒せなかった阪神。そしてあのパ・リーグを3連覇したオリックスの戦い。本当に力と力がぶつかり合った試合ばかりです。結果は一方的な試合もありましたが、内容的にはどっちに運が転がるか分からないという試合ばかりでした。 先日YouTubeでもお話をしましたが、このような1球1球で流れが変わる試合において報道が監督の「采配ミス」と指摘するときもありましたが、現場を知る私からしたら、結果論で言わないでほしいと思うのです。それくらい先が読めない戦いをしています。こちらのほうがいいと思い、下した決断よりも、相手チームの攻撃や守備が上回ってしまうこともあるんです。 オリックスの中嶋聡監督は3連覇した監督ですよ。かたや阪神の岡田彰布監督は長い監督経験があって毎回チームは上位に入り、2度リーグ優勝を果たした監督です。その2人の監督の采配にどうケチがつけられますか? あくまでも結果論なんです。それと同時に、それくらいお互いの力が拮抗しているのだという証拠でもあります。 試合を見ていて感じたのは、こんな強いチームと対戦していたんだ、と。それと同時に優勝チーム同士の日本シリーズになってよかったな、ということと、これは3勝3敗になるよね、という試合運びでした。そうなる一番の理由は、お互いの投手陣が抜群に素晴らしいということです。やはり投手力が高いと、こういうような試合が生まれていきます。 3勝3敗からどっちが勝ってもおかしくありません。どちらも日本一にふさわしいチームです。ただ決着がつきました。それは運が強いほうが強いという結果だと思います。 第6戦の4回表二死一、三塁の場面で、一番の近本光司が、オリックスの先発・山本由伸の初球153キロの真っすぐをとらえました。ホームラン性の当りでしたが、ライトの森友哉がジャンプ一番キャッチ。このピンチをしのぎました。中にはあと10cm上なら試合展開が変わった、という人もいると思います。ただ私から言わせてもらえれば、由伸(山本由伸)が力で押し込んだ打球で、アウトになるべくしてなったと思うのです。だからこそ、そのあとの快投が続き、オリックスに勝利をもたらしたのです。そして、あそこに飛んで行った運というものがあったのかなと思います。 第7戦も実力はまったく一緒です。運がどっちにあるかのみです。「運も実力のうち」という言葉がありますが、まさにその戦いになりました。結果は7対1で阪神が38年ぶり2度目の日本一に。勝利の女神は阪神に微笑みました。でも本当に、素晴らしい試合の連続でした。
週刊ベースボール