「ゴミ屋敷で孤独死寸前のケースも」遺品整理業者が教える“おひとりさま女性”の悲惨な末路
成功例 決断して前向きに今を楽しむ70代女性
娘さんが結婚して家を出たのちに夫を亡くし、分譲マンションでひとり暮らしをしていた70代女性・Kさん。それを心配した娘さんが自宅近くの老人ホームへの入居をすすめ、Kさんも受け入れることに。山村さんの会社で入居のための整理を手伝った。 「Kさんの趣味はバルコニーでのガーデニングでした。しかし身体の衰えを実感していたのでしょう。移り住む老人ホームは個室スペースが限られていたのもあり、ガーデニングからウォーキングへと趣味を変更。愛着があるはずの園芸道具もいさぎよく処分しました。『老人ホームに閉じこもりになるのはつまらないから、アウトドア派に転向するのよ』と笑顔で語り、その言葉どおり毎日のように外出して娘さん夫婦やお孫さんと交流されているそうです」 判断力や行動力が衰えてくる現実を受け入れ、早めに備えと決断をすることが、おひとりさまを乗り切るカギだ。 「それができる人は自分の人生に納得し、幸せに生きているように思えます」 山村さんに教えてもらった老後ひとり暮らしの5つの壁 お金の壁 年をとると判断能力が衰え、お金の管理が困難になる。認知症を患うと、自由に預貯金を下ろすことすらできなくなる。また、収入がひとり分のため、老後資金を十分に準備できず、経済的なリスクが生じる危険性がある。 健康の壁 体調を崩した際のセルフケアが難しく、健康を害するリスクがある。特に問題なのは入院時。支払いの連帯保証人、万が一のときの身元保証人、身辺の面倒を見る世話人が必要だが、おひとりさまはその確保が難問となる。 心の壁 孤独感と社会的孤立のリスクがある。人との交流が日常的に不足し、強い孤独感に苛まれたり孤立に陥ったりする。また、生活の悩みやストレスをひとりで抱え込むことで、うつ病などを発症するリスクが高まる。 介護の壁 心身が弱ってきたとき、誰に面倒を見てもらうかも難問。老人ホームなどの高齢者施設に入居する際はまとまったお金が必要になる。介護関連の定期費用も相当かかる。どちらにしろ、お金を準備しておかなければならない。 孤独死の壁 人間はいつか死を迎える。自分が死んだ後のことを無視していると、孤独死により周囲に迷惑をかけてしまう。死後には遺体と遺品が残る。あらかじめその後始末の算段をつけておくことが、おひとりさまの礼儀といえる。 山村秀炯さん●グッドサービス代表。愛知県を中心に遺品整理、生前整理などの事業を行う中で、ひとり暮らしシニアのさまざまな問題に直面し、そのサポ―トも担っている。初著書『老後ひとり暮らしの壁』が3万部突破のベストセラー。 取材・文/百瀬康司