[24衆院選 現場から]保守分裂で「王国」揺らぐ、紀州戦争に「しこり残る」…和歌山2区
一方、世耕はかねて首相を目指す意向を公言し、衆院にくら替えする機会を狙ってきた。二階が政治資金問題の責任を取って引退するタイミングは、絶好の機会となった。
和歌山は衆院小選挙区の「10増10減」で選挙区が3から2に減り、2区は、二階の地盤だった旧3区に7市町が加わり、県内30市町村のうち27市町村からなる。参院議員として県内全域を選挙区とし、5回の当選を重ねた世耕にとって有利に働くとの見方もある。
世耕陣営が神経をとがらすのは二階の影だ。二階は公示後、表立った動きは見せておらず、世襲や政治資金を巡る問題への批判をかわすためと見る向きもある。それでも二階の老練な政治手腕を知る世耕は「竹やりで戦車に向かうような選挙だ」と警戒する。
世耕は圧倒的な票差をつけて勝利し、将来的な復党につなげたい考えだが、自民執行部の一人は「自民公認候補の対抗馬として立候補したのは、明確な反党行為だ。復党させるわけがない」と言い切る。地元の自民関係者は「世耕と二階の対決となった『紀州戦争』のしこりは、選挙後も残り続ける」と危惧する。
野党は世耕、伸康の双方に矛先を向ける。立憲民主党の新古祐子(52)は「和歌山を変えなければ日本は変わらない」と政治資金や世襲の問題をやり玉に挙げ、共産党の楠本文郎(70)も「クリーンな政治」を訴えている。(敬称略)
(田ノ上達也、和歌山支局 竹内涼)