女流プロ雀士インタビュー 1児の母としてMリーグで奮闘する日向藍子「やって全く損はない」 麻雀普及にも尽力
18年に発足し7シーズン目を迎えた麻雀プロリーグ戦・Mリーグが、熱い戦いを繰り広げている。参加中の女性雀士12人に、麻雀を始めたきっかけや今シーズンにかける思いなどを聞く。今回は先月に「推しと楽しむ ゼロからの麻雀入門」 (近代麻雀戦術シリーズ)を発売するなど、麻雀の普及活動にも力を入れる日向藍子が登場する。 【写真】1児の母としてMリーグで奮闘する日向藍子の全身ショット ◇ ◇ -試合当日のルーティンなどは。 「対局当日は集中したくて、また気持ちもスカッとしたいので朝はトイレ掃除とかから始まりますね。Mリーグは夕方からなので起きてから洗濯、掃除をして、娘と旦那の夕飯を作ってからというのが恒例です」 -Mリーグは他の対局とは違う。 「やはりチームでの活動になる分、チームのためにも負けられないし、一人のポイントじゃないっていう感覚が強い分、良くも悪くもプレッシャーは他の試合よりは大きいかなと、私の中では感じています」 -プロを目指すきっかけは。 「麻雀っていうゲームも知らない状態で麻雀店のアルバイトを始めました。ルールを教えてもらって始めたらなんて面白いゲームなんだと。そのうちに、だんだんと自分がどれだけ明確に強くなっているのかを知りたくなってきたんです。プロになってリーグ戦に出て、どれだけ通用するのか試したくなり、プロになったのが21歳のときでした」 -チームは22-23シーズンで優勝を果たしたが、昨季はセミファイナルで敗退。 「チームとしては初めてのセミファイナル敗退だったんですよ。少し肩の荷が下りたという感覚もあったんですが、旦那も娘も私がいないファイナルは見なくなり、ファンやサポーターの方からも“ファイナルにABEMASがいないのはほんとに悲しいです”という声もたくさん頂いて、ハッとしたんです」 (続けて) 「さらに閉幕式でファイナルを戦った4チームを後ろの段から見守る形になったのが結構、悲しくて。“あっ、戦えなかったんだ”っていうのを再認識させられました。“最低でもファイナル進出”と個人としてもチームとしても意気込んでいます。もうみんなを悲しませてはいけないと」 -対局の前には練習をこなしている。 「Mリーグのルールのために、みんなで打って、その都度討論をして“こういうポイント状況ならどうする”とか自分の手と周りの手をどう読んでいたのかの確認。それ以外だと他の試合を見て、その選手がどういうバランスで打つタイプなのかとかを情報として入れています」 -1児の母として戦っている。両立も難しいのでは。 「ちゃんと両立しているかって聞かれると正直、私もできている自信はないです。まだ手探りの部分ももちろんありますし。でも子供って一人で育てるものじゃないですよね。旦那の協力がウチはとても大きいですが、いい意味でお互い手を抜いていく。自分の中では100点を毎日目指すのではなく、65点、70点を取れていれば、しっかり娘も成長していきますから。旦那に頼るのも悪いことじゃないですし、そのラインを徐々に見つけてバランスをとっている感じです」 (続けて) 「最初はMリーグも子育ても初年度で、なかなかうまくいかなくて毎日メンタルがグラグラしていたんですけど、今はうまくいかないことも受け入れて。いろんなことがあってもちゃんと戻って来られる場所があるのはすごくありがたいことですね。なので、家族がいてくれてありがたいなって思うことが圧倒的に多くなりました」 -娘さんが麻雀に興味を持ってきたら。 「麻雀はやって全く損はなにひとつないですから。頭の回転も速くなるし、コミュニケーション能力も上がる。いろんな面でプラスがあるので、むしろ子供もやった方がいいと思っていますね」 -数々の伝説的な上がりがありますが、ご自身で印象に残る闘牌は。 「見てくださっている方は役満とか大きな手を上がったことが印象に残ると思うんですけど、私的には負けたときの方が印象に残っています。うまくできたかなという局面で覚えているのは、チーしてテンパイして最後のツモでツモったんですけど、あえて上がらずに。みんながノーテンだと読んで、(子から)300、(親から)500点を取らずに、(ノーテン罰符の)1000点ずつを取りに行ったのが結果的に正解だった時ですかね。ちゃんと場を読めていたので練習してきて良かったなと思えた場面でした」 -Mリーグ、ABEMASのファンへメッセージを。 「今年はなるべく長く戦って、皆さんを悲しませないのがテーマです。また麻雀の普及にも力を入れています。年齢も性別も関係なくどなたでも楽しめるのがいいところ。つい最近も旦那方の祖父母の実家で私の娘を膝に座らせて4世代で麻雀をしたんですよ。こんなふうにすてきな交流ができる。ABEMASファンじゃなくてもぜひ、Mリーグを見ていただいて、推しの選手でも、麻雀が好きでもなんでもいいですので楽しみを見つけてもらいたいですね。人生の中でのひとつの楽しみだったり、彩りを添えてくれる競技なのでいろんな方に知ってもらいたいです。Mリーグを少しでも見て、ぜひハマってください」 ◆Mリーグ 優勝賞金5000万円を9チームで争う。1チーム男女混成の4人で構成。レギュラーシーズンの上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。さらに上位4チームがファイナルシリーズに進み、優勝を目指す。ABEMAで全試合無料生中継中。 ◆日向藍子(ひなた・あいこ)1988年9月24日生まれ、長野県出身。渋谷ABEMAS所属。11年に最高位戦日本プロ麻雀協会に所属。MCや実況などで活躍すると共に、第1回女流モンド新人戦優勝、第16期・17期プロクイーン連覇など実績を積み重ね、19年のMリーグドラフト会議にて渋谷ABEMAS所属のMリーガーとなる。Mリーグでは2022-23シーズンのチーム優勝に貢献。1児の母でもある。