失明にもつながる“緑内障”予防のための「眼圧を下げる方法」を眼科医に聞く
緑内障予防や目の健康のために、眼圧を下げる食事や生活とは? 運動やツボ押しにも効果がある?
編集部: 食事や運動などを注意することで、緑内障を予防することはできますか? 蒲山先生: ビタミンA、B2、Cなどを取ることで緑内障のリスクが軽減するという研究もありますし、タンパク質も神経のダメージを軽減するために良いとされています。ただし特定の栄養素にこだわるのではなく、バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。 編集部: そのほか、食事において注意することはありますか? 蒲山先生: 一般的に、カロリーオーバーの人や糖尿病の患者さんは緑内障が悪化しやすいことがわかっています。そのような場合には、適切なカロリー制限や糖尿病のガイドラインに沿った食事療法を継続するようにしましょう。 編集部: 避けた方がいい食べものや飲みものはありますか? 蒲山先生: お酒と緑内障の関連性もまだ証明されていませんが、多飲は健康上の問題となるためほどほどにすることをおすすめします。カフェインは眼圧を上昇させることが明らかになっていますが、コーヒーを1日2~3杯など適量であれば問題ありません。 編集部: 運動はどうですか? 蒲山先生: 適度な有酸素運動は眼圧を下げる効果があることがわかっています。体重をコントロールするためにも適度に運動を続けることをおすすめします。 編集部: マッサージやツボ押しは効果がありますか? 蒲山先生: 目の周りなどには多くのツボがあり、なかには目の血行を良くして緑内障に効果が期待できる、といわれるものもあります。あわせて目の疲れがスッキリするものもあります。ただし、眼球を強く押す行為は避けましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 蒲山先生: 緑内障を発症した患者のなかには、途中で治療を中断してしまう人もいる一方、反対に過剰に眼圧を心配してしまったり、失明するのではないかという強い不安や恐怖心を抱いたりする人もいます。緑内障は「治す」病気ではなく、「上手に付き合っていく」病気です。すなわち緑内障の治療は目を良くすることではなく、人生を良くすることが目的です。アドヒアランス向上のために患者さんの恐怖心をあおる医者やネット記事もありますが、私は逆効果だと考えます。適切な治療を継続すれば「失明は防げる病気」であることを再確認し、今自分ができることをコツコツやっていくことで病気と向き合いながら、人生をより良いものにしていくことに気持ちのベクトルを向けて欲しいです。どうしても不安なときは、一人で悩まず勇気をもって私たちに不安を打ち明けてください。不安は病気と向き合っている証拠です。より良い方向へ向かうお手伝いができれば眼科医として嬉しく思います。