「自民党は“育ちのいい坊ちゃんとお嬢ちゃんの集まり”になっちゃった。それではトランプやプーチンの相手はできない」...山崎拓が語った「自民党復活の条件」
4日、自民党派閥の裏金事件をめぐり、安倍派、二階派計39人の処分が正式に決まった。幹部らに重い処分を下した一方で、岸田首相は自身の処分は見送った。自身の責任の取り方は「政治改革に取り組むこと」としたが、果たしてこれからどうなるのか。山崎拓氏に聞いた。 【一覧】「次の首相になってほしい政治家」岸田は15位…上位に入った「意外な議員」
岸田首相の責任
―古巣の自民党では、「派閥の裏金問題」に関与した議員ら39人の処分が正式に決定しました。塩谷元文部科学相、世耕前党参院幹事長に「離党の勧告」、その他の幹部にも「党員の資格停止」「党の役職停止」などの処分を下しましたが、岸田首相は自身の処分は見送りました。ですが、首相の責任も問われています。 支持率が大きく低下する事態を招いた。岸田首相の政権担当能力が大きく問われている。6月に定額減税をスタートさせた後、解散総選挙を打って現状を打破するか、それとも9月の任期満了まで続けるか、岸田さんの判断をみな注視している。仮に解散を打っても負ける公算が大きい。焦点はどのくらい負けるか。野党があまりに弱いので、なんとか救われるという雰囲気だ。 小選挙区制度というのは、二大政党を前提としているが、今は多党分裂になっている。自民党がデパートなら、立憲民主党と維新はせいぜいスーパー。その他は全部コンビニ政党だ。街中でもたくさんのコンビニがあるけれど、全部資本や経営者が異なるので、ひとつになって大きなデパートになるという事例はない。今の政界はそうした経済現象に似ている。あくまで規模の例えだが。 また、現在の野党にはオーラのある党首もいない。それこそ、大谷翔平君が立憲民主党の党首になったら、若い人は皆投票所に行くよ。選挙には人気投票の要素が強い。 野党が一本化しない限り、政権交代は夢のまた夢だろう。
訪朝を模索したが……
―岸田さんは少しでも負けないために支持率を上げようと必死に見えます。つい最近までは訪朝を模索していましたが、金与正朝鮮労働党副部長が、 「(岸田政権がこれまでとは)異なるルートを通じて可能な限り早いうちに朝鮮民主主義人民共和国国務委員長に直接会いたいという意向を我々に伝えてきた」 と、明らかにした上で、次のように断言しています。 「これ以上解決すべきことも、知る由もない拉致問題に依然として没頭するなら、(岸田)首相の構想が人気取りにすぎないという評判を避けられなくなる」 拉致問題解決のために北朝鮮の金正恩総書記に会おうとしているが、北朝鮮が「拉致」に関して拒絶反応を示しているので、日朝首脳会談は実現しないと思う。仮に拉致問題抜きで訪朝したら、拉致被害者も国民も強く反発するだろうから、政権を投げ出さざるを得ない状況に陥りかねない。 可能性は低いが、仮に北朝鮮が「新たに見つかった」と誰かを出してくるようなことがあっても、拉致被害者の会が「全員生還」を掲げている以上、その話にも乗れない。それに、被害者の会が挙げている人の中から、一人か二人還したとしても、横田めぐみさんというシンボルが戻ってこない限り、被害者の会は振り上げた拳を降ろすことはしない。ある意味、被害者の会というか、日本政府もそこで自縄自縛に陥っている。隠し球があったとしても、こうした事情を北朝鮮が理解すれば、会談にはまず応じないだろう。 北朝鮮としては「お金」が欲しい。これは我が国も北朝鮮も言っていることですが、2002年の「平壌宣言」はまだ生きている。ただ平壌宣言の本質は「戦時賠償金」です。北朝鮮側は当時、巨額の戦時賠償を求めてきた。1965年に、日韓基本条約と同時に「日韓請求権並びに経済協力協定」が大韓民国との間で締結された。 日本が韓国に対して無償で3億ドル、有償で2億ドルを供与することで両国の請求権に関する問題が完全に解決されたという内容だったが、それから60年が経ち、貨幣価値が大きく変わっているうえに、対韓国よりも巨額だった。 ただ、その時は、戦時賠償金に相当する経済協力費を支払う代わりに、 ⑴核開発をやめる ⑵ミサイルを凍結する ⑶日朝間に横たわる諸懸案(含拉致問題)を解決する という一致を得る手はずだった。北朝鮮としても、当時は本格的に核開発を始めたばかりだったので、合意できたと思う。正常化交渉にはむしろ北朝鮮のほうが前のめりだった。