『室井慎次』にも!『踊る大捜査線』にはネットワーク捜査員がいた
社会現象を巻き起こした大ヒット作『踊る大捜査線』シリーズといえば、日本におけるインターネット宣伝を活用したエンターテインメント作品のはしりだといわれている。「ネットワーク捜査員」と呼ばれるシリーズのファンと、つくり手とのきずなは非常に深く、テレビ放送から27年たった現在においても、「踊るプロジェクト」最新作となる『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の宣伝戦略において“ファンファースト”の姿勢を貫いている。そこでこちらではその背景を探ってみた。 【画像】最新ビジュアル!『室井慎次 生き続ける者』 『踊る大捜査線』のオフィシャルサイトは、テレビシリーズのオンエアが終了した9カ月後となる1997年12月16日に正式オープン。当初は翌1998年10月31日公開予定の『踊る大捜査線 THE MOVIE』と、その間で放送されるスペシャルドラマを盛り上げることを目的に制作された。
当時はインターネットが普及しはじめたばかりの頃であったが、登場人物の履歴書なども含めた詳細なプロフィール、スタッフが参加するメイキングコンテンツ、劇中の印象的な小道具紹介など、コアなファンに向けた、ここだけでしか読めないコンテンツが目白押しだった。その中でも踊るファンが集まる「ネットワーク特別捜査本部」というタイトルのBBS(掲示版)は、ドラマ関連のフリートークをはじめ、主要キャラから脇役まで各キャラクターのファンクラブなど、話題別に立てられた会議室(スレッド)でスタッフを交えたファン同士で熱い会話を繰り広げられていた。
会議室の参加者はメールアドレスを使った登録制で、参加者は「ネットワーク捜査員」と呼ばれた。シリーズを心から楽しむ彼らの熱心なコメントはスタッフを刺激し、そしてスタッフも惜しみなく情報を提供。そこからオフ会や撮影現場見学、エキストラ参加なども行われるなど活発なコミュニティが生まれた。また、映画公開時には、オフィシャルサイトを通じた本広克行監督の呼びかけを受けた“捜査員”たちが、各地の上映劇場で拍手とスタンディングオベーションを行ったことが話題を集めるなど、「踊る大捜査線」の大ヒットを語る上で、ファンが集まるオフィシャルサイトの存在は欠かせないものとなり、映画第3弾の時まで運用されていた。