<社会インフラを行く!>東京湾アクアライン「海ほたる」
ゴールデンウイークが近づいてきました。神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ高速道路「東京湾アクアライン」(全長15.1km)を通って旅行に行く人もいるでしょう。突然ですが、アクアラインの「海ほたる」は「土木構造物」でしょうか? それとも「建築建物」?
東京湾に浮かぶ人工島「海ほたる」はアクアラインの休憩地です。屋根のついたカフェやレストランがあるので「建築建物」と答えたいところ。でも、土木の目でみると、れっきとした「土木構造物」なのです。実はその役割、川崎市側の海底トンネルと木更津市側の橋を結ぶ「連結器」だからです。 海ほたるは全長650m、幅100mで「土木界でも類まれな巨大施設」と言われています。海の上でトンネルと橋を直接結ぶことは難しいため、巨大な人工島を建設したのです。非常時にはUターンする場所として使います。 海ほたるの穴場としておすすめしたいのが、芸術家澄川喜一氏が制作した「カッターフェイス」の巨大モニュメント。トンネルを掘り進むためのカッター(刃先)で、世界最大級のシールドマシン(直径14.14m、総重量3000トン以上)の前面に取り付けます。本物は円形をしていて、これが回転しながら、海底トンネルを掘削しました。 この堂々としたカッターフェイスをご覧ください。大仕事を終えて海底トンネルを振り返るように見える様は、どこか誇らしげです。 (監修:吉川弘道・東京都市大学教授)