【運用資産5億円超】30代でFIRE、運用歴40年超の個人投資家が語る“逆張り”の極意…今年はあの株で儲かった!
■ 逆張りで売買しこれだけ儲けた 内田:主に日本株で逆張り投資をしています。不祥事や業績不振で割安になっている日本株を買い、長中期で保有し、値上がりしたところで売るというスタイルです。 ――逆張りで、2024年に奏功した売買を教えてください。 内田:日本郵政を2021年に900円台で順次2万株余り買い付け、2024年1月に1360円を付けたところで売却しました。この結果、譲渡益は900万円になりました。 ――日本郵政は2015年の新規株式公開(IPO)直後こそ上昇しましたが、その後、低迷していることが投資家の不評を買っています。 内田:私も、IPO時に売り出し価格1400円で買い、公開直後、1800円まで上がった時点で売っています。その後、株価は900円台に低迷しましたが、当時の年間配当が50円。つまり、保有中は配当利回りが5%を超えていたのです。業績は低迷していましたが、官業の色合いを持つ会社であり、潰れることはないと思いましたし、減配や無配の可能性も低いと感じていました。 ――2024年1月に売却したのはなぜですか。 内田:日本郵政の売り出し価格は1400円です。IPO時に買い、公開直後に売る時期を逸して塩漬けにしている投資家は、1400円を超えたら売る可能性と推測していました。上昇局面にあって、「1400円が壁になるだろう」と考えて売却しました。 ――他に、2024年に利益確定した株はありますか。
■ 証券会社やマネー誌が勧めない割安株の見つけ方 内田:2020年当時、株価が低迷していた神戸製鋼所を570円で1500株買い、2024年2月に2100円で売却しました。旧NISAを活用したので、約230万円の譲渡益は非課税です。 外食産業も、新型コロナウイルスによる業績不振の時に買った株があります。磯丸水産などを展開する「クリエイト・レストランツ・ホールディングス」を、2021~2023年に750~975円で4000株順次買い付けました。外食産業は、自社で展開する飲食店の食事券など株主優待も魅力です。2024年10月に1200円に値上がりした時点で、業績回復にめどがついたと判断し、3600株売却しました。400株は、株主優待を受けるため手元に残しています。 ――まさに、割安株を逆張りで買っていますね。しかし、割安株がすべて良いというわけではないのですよね。 内田:自身でIR(投資家広報)資料を読んで、業績が元に戻る可能性がある株式のみ買っています。クリエイトについては、過去の業績がしっかりしています。約100年前に全世界で大流行したスペイン風邪が数年で終息したので、コロナも3年ほどで終息し、クリエイトの業績も戻ると判断したから安値圏で買いました。 今年10月にクリエイトの業績も株価もコロナ禍前に戻ったので、売却しました。「次の割安株」に乗り換える意味合いもありました。 経営基盤が盤石なのに、業績不振や不祥事で株価が低迷している企業を人間の身体に例えるならば、風邪や骨折で一時的に体調不良に陥っているだけです。順調にいけば、株価は、2~3年で1.5~2倍程度になります。 このような、問題のある割安株を勧める証券会社やマネー誌はほとんどありません。だから、自分で資料を読んだり、IR部署に問い合わせたりして、割安株のポテンシャルを見極めるのです。 一方で、現在業績が良い銘柄は、買いやすいのですが、既に業績が良いことが株価に織り込まれているので、更に大きく上昇するのは容易ではありません。株式投資で苦戦する一定数の方は、業績の良い割高な株を買っているのでは、と推測します。 ※本記事は特定の投資対象を推奨するものではなく、あくまで個人の投資経験を紹介するものです。実際の投資や売買に関しては、ご自身の判断と責任において行われますようお願い申し上げます。
種市 房子/内田 衛