米国産「神戸ビーフ」、台湾産「夕張メロン」… ブランド不正使用横行 海外ECサイト
GI登録農産物 販売1242件
海外の電子商取引(EC)サイトで、地理的表示(GI)保護制度で登録された日本の農産物などの名称を不正に使用した商品が1242件販売されていたことが、農水省が2023年に行った調査で分かった。米国産の牛肉を「神戸ビーフ」や「鹿児島黒牛」に偽装したり、台湾産のメロンを「夕張メロン」と表示したりして売っていた。 【画像】「夕張メロン」と「鹿児島黒牛」の偽装品 同制度は、地域特有の農林水産物や食品の名称を知的財産として守る制度。ブランド価値の維持へ同省は、名称の不正使用の取り締まりなどの結果を毎年公表している。 23年度は、輸出していたり有名で模倣されやすかったりする29のGI産品を対象に、世界の主要な179のECサイトを調査。不正が疑われる事例が1242件あった。 これらに対し同省がサイトからの削除を申請したところ、今年2月末までに611件が削除された。削除に応じず掲載されたままのものも多い。 同様の調査で、22年度は1135件、21年度は1029件、20年度は1378件の不正を確認。過去には「市田柿」や「八女伝統本玉露」「宮崎牛」「万願寺甘とう」などをかたった事例も見つかっている。模倣の横行が続く現状に、同省知的財産課は「模倣品は輸出の妨げにもなる。厳正に対処していくとともに、産地にも権利を守る意識を高めてもらうことが重要だ」と指摘する。
農水省が相談窓口
対策を後押ししようと同省は、産地が専門家から個別に助言を受けられる事業を用意する。海外で流通する偽物に関する情報提供、対策の相談を受け付ける現地の窓口の設置も進めている。 23年度には、国内でも不正表示が7件あった。他産地の牛肉やシシトウなどにGIの名称を付けていた。全件でGI表示を消すなどの改善が済んでいる。 GI産品には現在、145産品が登録されている。 (本田恵梨)
日本農業新聞