【解説】名跡“猿之助”誰がつぐ? “既定路線”は市川團子…名前に“悪いイメージ”も
その澤瀉屋の家系図を見ていきます。 スーパー歌舞伎は、猿之助容疑者のおじにあたる三代目市川猿之助、現在の二代目市川猿翁さん(83)が始めました。実は猿翁さんは、スーパー歌舞伎での宙乗りが「5000回」というギネス世界記録を持っています。 スーパー歌舞伎で人気を博した「市川猿之助」は、歌舞伎界にとっては非常に重要な名跡になったということです。 猿翁さんの息子が市川中車さん(57)です。ドラマや映画では香川照之さんとして有名です。一方、猿翁さんの弟が、今回亡くなった市川段四郎さん(76)で、その息子が逮捕された猿之助容疑者ということになります。 歌舞伎界にとっては、なくてはならない人たちといえます。
■「スーパー歌舞伎Ⅱ」「ONE PIECE」と“融合” 挑戦的な試みを続け…
猿之助容疑者は、1983年に「二代目市川亀治郎」として初舞台を踏み、多くのドラマや映画でも活躍する歌舞伎界きっての若手スターの1人でした。2012年に四代目として「猿之助」を襲名します。襲名披露では「猿之助という名前は“神様”に等しい憧れの名前」という言葉を残しています。 おじが始めた「スーパー歌舞伎」を発展させた「スーパー歌舞伎Ⅱ」を始めたり、人気マンガ「ONE PIECE」と歌舞伎を融合させたりと、革新的で挑戦的な試みを続けてきました。 歌舞伎評論家の中村達史さんは「新しい歌舞伎も古典の歌舞伎も、どちらも高い水準で演技ができるというのが、(猿之助容疑者の)傑出したところ」と話しています。
■名跡つぐのは「既定路線」市川團子さんか 容疑者復帰の可能性は…「3つの条件」
猿之助容疑者が守り、育ててきた名跡や芸が、これからどうなっていくのか、気になるところです。「猿之助」の後継者については、注目されている役者がいます。 市川中車さんの1人息子、五代目市川團子さん(19)です。2012年、8歳の時にスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」で初舞台を踏み、5月に猿之助容疑者の事件が発覚した際には、公演中の歌舞伎で猿之助容疑者の「代役」を務めました。
歌舞伎評論家の中村さんに「猿之助をつぐのは誰なのか」と聞くと、「歌舞伎界ではずっと團子さんがつぐことが『既定路線』だった。当然その前提で、みんながこれまでも動いてきた。ただ、今回のことで名前に悪いイメージがついてしまった。一番重要になってくるのは、おそらく團子さんの意思だと思います」と話していました。 また、猿之助容疑者が復帰する可能性というのはあるのでしょうか。 中村さんによると、仮に猿之助容疑者が将来、復帰する可能性があると考えるならば、次の「3つ条件」があるということです。 ●世間の空気 ●本人の意思 ●主催者の松竹 「この3つすべてが合わさって“復帰していいよ”とならなければ、復帰は難しい」と話していました。 歌舞伎界がこの難局をどう乗り越えるのか、注目されます。 (2023年6月28日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)