「年上の部下」の力を最大限に引き出す4つの質問、もし関係が悪化すると組織全体が機能しなくなることも
年功序列や終身雇用といった日本型の会社システムが終わりを迎えつつあるいま、ゼットスケーラー株式会社代表取締役・金田博之氏に寄せられる相談には、「年上部下をマネジメントするときには、どのようなことを心がければいいですか?」という内容のものが増えているといいます。 そんな金田氏が、自身の経験からあみだした「年上部下」から信頼を得るためのコミュニケーション法を、同氏の著書『最高のリーダーは気づかせる 部下のポテンシャルを引き出すフレームワーク』から、一部を抜粋・編集して紹介します。
■関係が悪化すると組織全体が機能しなくなる 「年上部下をマネジメントするときには、どのようなことを心がければいいですか?」という相談を受けることが近年増えています。本稿を読んでいるあなたも、自分よりも経験豊富な年上部下の接し方に悩んでいるかもしれません。 かく言う私も、SAPで30歳からのインサイドセールスで管理者としての成果が認められ、35歳でオペレーション部門の本部長に昇進したとき、部下を持つ部長クラスを管理し、年上部下たちとともに働くことになりました。年齢やキャリアの違いから、私はリーダーシップを発揮するうえで非常に気をつかいました。
また、私が就任した当時のオペレーション組織は、社員満足度がきわめて低く、過去3年間で5人の本部長が次々と交代していました。そのため、組織内には強い不信感が蔓延しており、私はまずその信頼を取り戻すことが急務でした。 私が感じていた心理的なプレッシャーは大きく、年上部下たちとの関係が悪化すれば、組織全体が機能しなくなるリスクがありました。信頼関係が崩れてしまえば、部下たちが私から離反し、組織は大きなダメージを受ける可能性があったからです。
そのため、年上部下たちといかに信頼関係を構築し、組織の安定を取り戻すかが、私にとって最大の課題でした。 ■「目指す姿」を起点に対話しないこと まず、私は彼らの豊富な経験やプライドを尊重することが不可欠だと考えました。そのため、指示を与えるティーチングアプローチではなく、部下の経験や強みを引き出すコーチングアプローチを採用することにしました。彼らの力を引き出し、共に成長する姿勢を示すことで、信頼を築いていこうとしたのです。