「濃厚なシトロエン・フィールは衝撃的!」by 小沢コージ これが、シトロエンE-C4シャインに乗った自動車評論家のホンネだ!!
乗り心地に全振りしているクルマ作りの姿勢は面白い!
今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! “ハイドロニューマチックの現代的解釈”をうたう「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション」を採用するBEV「シトロエンE-C4シャイン」に乗った田中誠司さん、小沢コージさん、斎藤聡さんのホンネやいかに? 【写真15枚】電気自動車になったC4の詳しい画像はこちら! ◆「最も合理的なEVのカタチ」田中誠司 フランスの実用車といえば、その昔から速すぎも贅沢すぎもせず、多少チープなところが見え隠れするのがチャームポイントで、さりとて操縦し積載するのに肝心な部分に手抜きはないことが特徴だった。シトロエンE-C4は電気自動車に生まれ変わりながら、その文脈に完全に従って作られているように見える。 車幅は1.8m、全高は日本の立体駐車場の多くが利用できる1.53mとされており、フロントマスクの存在感は強いものの全長は4.4m足らずに収められている。バッテリー容量を50kWhに留め、前輪を駆動するモーターも136ps/260Nmと控えめで、加速も航続距離も平凡ながら車両重量は1630kgと比較的軽く、時折郊外へ赴く程度のシティカーとしての使い勝手は申し分ない。フランス人が考える、現時点で最も合理的なEVのカタチ、なのだろう。 一番気に入ったのは操作に対する応答性が優れるステアリングと、シトロエンらしく安定感ある車体の挙動だ。助手席でドライブを楽しんだアルピーヌA110オーナーであるEPC会員も「これなら安心できるハンドリングですね」と感心してくれた。 ◆「キャラ立つEV」小沢コージ EVになるとみんな同じようなクルマになる……ソイツは半分ホントで半分ウソだ。単純に日本においてシトロエン初のバッテリーEVとなるE-C4。エンジン車のような面白さは正直ないけど、やっぱり全体を通じて感じる衝撃のシトロエン・フィールが濃厚だからだ。 ボディ・サイズとホイールベースはディーゼル版C4と全く同じ。前後トレッドに最低地上高、最小回転半径も全く同じで露骨に違うのは約250kg重い車重ぐらい。見た目もバッジ以外はフロント・バンパーやサイドに付いてるエアバンプ造形やドア・トリム加飾がブルー系になるくらい。 だが乗った瞬間「ああシトロエン」だと分かる。EVになっても変わらない、アクセルを踏んだ瞬間、分厚いトルクでボディの塊がワープするような加速感や、荒さを感じないステアリング・フィールと乗り心地。この優しさはシトロエンでしかありえない。ついでにある意味、EVファンをガッカリさせるのは実はたいして速くないこと。136ps&260Nmのモーター出力はディーゼルとさほど変わらない。電動化時代でも最後に残るのは濃いキャラクターなのよ。 ◆「温かさが充電される」斎藤聡 シトロエンが好きだ。どの車に乗ってもほんわかと暖かな気分になれるところがいい。操縦安定性なんてどこの世界の話? と半ば開き直っているのではないか、と思えるほど乗り心地に全振りしているクルマ作りの姿勢も面白い。かつて油圧の塊だったシトロエンが電動化されいったいどんなクルマを作るのかと思ったら、やっぱりシトロエンだった。 バッテリー残量がたっぷり残っていたので箱根までのドライブが許された。そんなわけで喜び勇んで西湘バイパスに走り出たのだった。口の悪い人からは“音振試験路”と呼ばれるこの道路だが、シトロエンは突き上げの不快さなど一切感じさせることなく、しっとりしなやかに走ってくれる。 山岳路では大きめのロールを伴う。それも、しんなりとスピードに見合ったロールを見せてくれる。バッテリーをフロアに配置しているはずなのに、重心の低さを主張せずむしろ自然でナチュラルなロール感を出している。機械の性能ではなく人の感性に向き合ってクルマを仕上げているのがよくわかる。乗ると温かいものが体に充電されて元気が湧いてくる。 写真=茂呂幸正(メイン)/神村 聖(サブとリア) (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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